厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると高齢者世帯の平均所得金額は316万円で、そのうち公的年金・恩給が62.5%を占めます。

高齢者世帯の収入事情と多様な収入源の重要性
高齢者世帯の1世帯当たり平均所得金額は316万円で、前年に比べて9千円、0.3%の減少となっていて、1世帯当たりの平均可処分所得金額は274万円、世帯人員1人当たりの平均所得金額は206万6千円となっています。
所得金額階級別に世帯数の分布をみると、「150~200万円未満」が13.6%で最も多く、次いで「100~150万円未満」が13.3%となっています。

また、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯のうち、公的年金・恩給の総所得に占める割合が「100%の世帯」が44.0%、「80~100%未満の世帯」が16.5%となっており、所得の8割以上が公的年金・恩給という世帯が約6割になっています。さらには、50%以上の高齢者世帯が「生活が苦しい」と感じているというデータもあります。
収入の62.5%以上を年金に依存しているのが現状で、稼働所得=就労による収入がなくなると忽ち生活がひっ迫することになりますので、年金以外の収入源を持つことの安心感は計り知れないものがあります。

私は、小規模の2事業を起業し持続させて頂いていますが、テナント事業は初年度から安定化しており小売・コンサル事業も7年目から黒字化になりました。65歳からは年金を受給しており、2024年12月現在、収入の内訳は次のようになっています。

①起業収入、テナント収入、小売、コンサル業が全体→62.0%
②年金収入→29.8%
③財団法人との業務委託契約によるコンサルティング収入→8.2%

収入が一番固いのは言うまでもなく年金ですが、起業収入も比較的安定しており継続する限りは着実に収入が計算できます。 しかし財団法人とのコンサル契約は年間契約ですので、更新されないリスクあるいは年齢制限で契約が終了となる不確実性が伴います。つまり企業に属している限りは突然離職となるリスクは避けようがなく、一方起業は、成長軌道に乗せれば継続的に収入が見込める為、大きな安心感をもたらしています。このように年金以外にも収入源を確保しておくことで、生活の安定感が向上するのは確かと言えます。

起業の軌跡と準備期間
私は退社・独立から9年目で現在2社を運営し、65歳からは年金と合わせて3本の収入源を得ることができています。が、その間、コロナ禍や親の介護といった困難にも直面しましたが、特に試行錯誤を重ねた5年間は大きな学びの期間となったものの準備不足感は否めず、かなり遠回りになった感じがします。現業のある50代の時期に兼業でもう少し準備が出来ていれば、早期退職したあと直ぐに起業が可能だったのはと考えています。

かつては起業に大きな資金やリスクが伴うとされていましたが、現在ではインターネットやSNS、ミーティングのオンライン化の普及により、少ないリスクで始めることが可能です。また、兼業や副業といった柔軟な働き方も社会に浸透しており、多様な選択肢が広がっています。これらの変化は、起業を目指す人々の背中を押してくれる要因となっています。

一方で、企業側は終身雇用の維持や給料の年次増加が難しい状況に直面しています。そのため、現業に従事しながら起業準備を進めることは、現実的かつ有益な選択肢と言えると思います。

三つの収入源の意義と将来の備え
3社に一社は70歳まで勤めることが可能になりつつあるようですが、人生100年時代は70歳以降もその後の人生は続きます。 高齢者の再雇用は基本、非正規雇用や年間契約であるため、更新されない可能性も考慮する必要がある一方で、起業収入や年金収入は比較的安定しているため、この3本の柱があることで全体的なバランスが保たれています。その後の収入源をどう確保するかは、50代のうちにどれだけ準備できるかにかかっています。この準備が、以降の人生に大きな影響を与えることは間違いありません。

起業は、家計における節約効果も期待できます。たとえば、家庭教師や配達業務といったアルバイトを個人事業主として行えば、経費や控除額を活用することで税負担を軽減し、支出を抑えることが可能です。また、こうした取り組みは少額であっても確実に収入を増やす手段となり得ます。

未来を見据えた柔軟な発想を
起業の初期投資に関して言えば、昔ほど大きな投資資金を準備する必要はなく、小規模なビジネスを始める選択肢が広がっています。50代までの豊富な経験と準備で得られる自信は、65歳以降の安定した生活を支える起業の重要な要素になります。特に年金だけに頼らない収入源を確保することは、将来の安心感と生活の質の向上に大きく寄与するでしょう。現業を活用しながら、リスクを最小に規模を極小に抑えた起業で、何より生きがいを感じられる自分らしいライフスタイルを築く一歩を踏み出すことをおすすめします。

出典:厚生労働省 高齢者世帯の平均所得金額は316万円で、そのうち公的年金・恩給が62.5

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