給与から控除される税金の仕組みを理解し、将来のライフプランに役立てることが重要ですので、今回は給与から引かれている税金の仕組みについて概要を共有させていただければと思います。
給与には「支給」と「控除」という大きな項目があります。支給は、基本給に加えて残業代や通勤手当、役職手当などを含む「額面給与」のことを指します。一方、控除は各種税金や健康保険料、雇用保険料などが差し引かれる部分です。この差し引き後の金額が「手取り給与」となります。
まず、所得税についてです。所得税は、収入から所得控除を差し引いた後の課税所得に基づいて計算されます。税率は収入に応じて異なり、例えば年収が525万円の場合、20%の税率が適用され、控除額は42万7,500円です。所得税の計算式は「課税所得×税率-控除額」となり、この例では62万2,500円が所得税として差し引かれます。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
所得税は毎月の給与から源泉徴収されます。これは、会社が代わりに税金を徴収して国に納める仕組みです。年間の収入に基づく税額の過不足が生じるため、12月には「年末調整」でそのずれを調整します。源泉徴収される金額は、受け取る支給総額から社会保険料をまず差し引き、さらに扶養人数を踏まえたうえで、税額表に基づき決定します。
社会保険料の金額は、基本的にその年の4月~6月の3か月における給与額に基づいて決定します。
次に住民税についてです。住民税は、居住している自治体に納める税金で、「所得割」と「均等割」に分かれています。所得割は前年度の所得に基づき、基礎控除額を差し引いた後の課税所得に一定の税率をかけて算出されます。均等割は全員に一律で課される税金で、自治体によって異なりますが、4000円から5000円程度が標準的です。
控除の仕組みも重要です。基礎控除、配偶者控除、扶養控除などは多くの人に関係する控除です。たとえば、基礎控除は所得税が一律48万円、住民税が43万円であり(注:税金が48万円、43万円安くなるわけではありません)、収入に応じて一定の額が控除されます。これに加え、住宅ローン控除など、納める税額から直接差し引かれる「税額控除」もあります。住宅ローン控除を受けるには、初年度に確定申告が必要ですが、節税効果が大きいため積極的に活用することをお勧めします。
退職後も、再就職した際には所得税や住民税が課され、また健康保険料や介護保険料も支払う必要があります。特に、退職後初年度は在職中の収入に基づく住民税を納付する必要があるため、事前に大まかな金額を把握しておくことが重要です。働きながら年金を受け取る場合は、収入によっては年金が減額されることもあるため、給与と年金のバランスも考慮した計画が必要です。
税金の仕組みを理解し、自分の手取り額をしっかり把握することは、老後の生活設計に大きな影響を与えます。定年退職後の生活に備え、税金や保険料について十分に理解しておくことが大切だと思います。
制度、税率は変更が想定されますので、会社担当部署、年金機構、税務署等に詳細はその都度ご確認ください。
出典:日本年金機構 働きながら年金を受給する方へ|日本年金機構 (nenkin.go.jp)