#万博から考える50年、そしてこれからの50年

2025年、55年ぶりに再び関西で万博が開催されています。前回の大阪万博が開催されたのは1970年。あの年に生まれた人々は、今年で55歳。定年が現実味を帯び、これからの生き方、暮らし方に真剣に向き合う年齢を迎えています。では、1970年という時代はいったいどんな年だったのでしょうか。そこから、変化のスピードを実感しながら、これからの未来にどんな準備が必要か、万博という節目を通して考えてみたいと思います。

1970年という時代
1970年の日本は、高度経済成長のまっただ中。大阪万博は、「人類の進歩と調和」をテーマに、世界中から6400万人が訪れ、日本の未来を象徴する国家的イベントでした。カラーテレビや自動車、クーラーなどが家庭に普及し始め、人々の暮らしは一気に豊かになっていきました。

この年の男性の平均寿命は69.31歳、女性は74.66歳。定年退職は55歳が一般的で、大卒初任給は約4万円、平均年収は100万円台という時代でした。ひとつの会社で定年まで勤め上げ、退職後は年金で静かに暮らすという「一億総中流」的なモデルが多くの人の人生設計の前提でした。

2025年、そして未来へ
それから55年後の現在。日本の平均寿命は男性81.09歳、女性87.14歳(2024年時点)。定年は60歳から65歳へと延長され、70歳以降も働く人が増えています。平均年収は450万円前後。インフレや格差の進行、非正規雇用の増加など、かつての安定神話は崩れ、老後資金の不安や社会保障制度の見直しが叫ばれています。

そして、今や「人生100年時代」と呼ばれ、55歳は「老後の入口」ではなく「第二のスタート地点」と捉えられるようになりました。かつてならリタイア後だった年齢に、今は新たなチャレンジや学び直し、再出発のチャンスが広がっています。

変化のスピードにどう備えるか
1970年から2025年までの変化を振り返ると、そのスピードと広がりに驚かされます。テクノロジーの進化、インターネットとスマホの普及、AIやロボットの登場、地球環境問題、パンデミック…。それらは私たちの暮らしや働き方、価値観までも大きく揺さぶりました。

この先の50年は、さらに予測困難な時代となるでしょう。AIによる仕事の再編、超高齢社会、気候変動、グローバルな地政学的リスク…。そんな中で私たち一人ひとりが備えるべきことは、スキルやお金だけではありません。「変化に適応する力」や「自分らしい働き方・暮らし方」をデザインする力が求められるのです。

万博が示す未来と、セカンドライフのあり方
2025年の関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。未来の医療、暮らし、働き方、そして人と人とのつながりのあり方が提示されます。これは単なる技術の展示ではなく、「私たちはどんな社会を目指すのか」という問いかけでもあります。

このテーマは、人生の後半戦をどう生きるかという私たち自身の問いにも通じます。かつての「老後」は、静かに過ごす時期でしたが、今は違います。誰かの役に立ちたい、社会とつながり続けたい、自分の可能性にもう一度挑戦したい――そう思う人が増えています。

その意味で、セカンドライフは「余生」ではなく、「第二の人生の創造」と言えるでしょう。たとえば、これまでの経験やスキルを活かして小さな起業をする、地域でボランティアや教育活動を始める、趣味を仕事にするなど、多様な可能性が広がっています。

今、準備すべきこと
では、これからの変化に備えて何を準備すればよいのでしょうか。
まず大切なのは、自分の価値観や興味を棚卸しすること。自分が何に喜びを感じ、どんな形で社会と関わりたいのかを見つめ直すことです。そして、その想いを形にするために、小さくてもいいから行動を始めてみること。学び直しやネットの活用、副業やスモールビジネスへの挑戦など、自分のペースで「準備の一歩」を踏み出すことが重要です。

また、健康・お金・人間関係という「人生のインフラ」の見直しも欠かせません。どれが欠けても、自分らしいセカンドライフは実現しません。ライフプランを可視化し、必要に応じて専門家のサポートを受けるのも一つの方法です。

万博から「自分の未来づくり」のヒントに
万博は、未来社会のショーケースであると同時に、私たち一人ひとりが「これからどう生きるか」を考えるきっかけにもなります。55年前、万博に心を躍らせた世代が、今度は未来を次世代に引き継ぐ番です。

今開催中の万博では、かつて人々を魅了した# 「月の石」の再展示や、未来を象徴する#「空飛ぶ車」が注目を集めています。技術と価値観の変化がますます加速し、誰もが予測困難な時代に突入しつつある今、これからの50年に備えて、今、私たちは何を選び、どう生きるのか――万博は単なる未来の展示ではなく、“これから”を考えるきっかけとなる場かもしれません。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次