「熟年離婚」:同居期間が20年以上の夫婦が2024年度離婚したうちの23.5%と過去最高になっているそうです。

定年が近づくにつれて、奥様や家族からは「家にずっといるのは避けてほしい」「適度な距離感を保ってほしい」といった期待(?)もあるようですので、収入が少なくても健康な内は仕事を生涯続けて欲しいというのが本音なのかも知れません。

現在50代を迎えられた世代は「失われた30年」と呼ばれる厳しい経済環境を生き抜き、家族のために必死に働き続けてきた方も多く、定年退職後のセカンドライフは一息つきたいと考える方も少なくないのではないでしょうか。しかしながら、60代前半の男性の82.6%が現在も働いており、セカンドライフがサラリーマン時代とほぼ同じ年数あることを考えると、妻たちは夫に出来るだけ長く働いてお金を稼ぎ続けてもらいたいと思うと同時に、夫が自宅で仕事もなく時間を過ごす生活形態を一番嫌がるようで(もちろんそうでないご夫婦もいらっしゃいますが)、今まで通りの生活リズムを維持してもらいたいと考えているようです。

とはいえ、60代後半までは何とか職に就ける状況ですが、70歳を超えると仕事の選択肢が極端に減り、再就職が難しくなってしまいます。こうした厳しい現状を踏まえ、セカンドライフを豊かに過ごすためには、定年後の生活や長寿化リスクについて家族で共有することが不可欠だと思います。まずは老後資金計画書などを作成し、継続雇用や起業を含め、働き続ける選択肢について事前に具体的に検討しておくことが大切だと思います。
再雇用を選択する場合は、70歳以降の就業機会が激減しその後は引退になる可能性が高い事、起業する場合、どんな仕事で初期費用や撤退条件を明確にする等、50代の内に、ご家族と人生の後半に向け働き方や人生設計について相談しておかれることをお勧めします。

定年退職後の人生がそれほど長くなければ老後資金もそれほど深刻な問題にはならなかったのかも知れませんが、今や30年前後の長い時間が待ち構えています。こうした状況では、夫が家にいる時間が増えることに戸惑う妻の声もあり、家庭内での役割分担やお互いの居場所を確保することが、夫婦関係を良好に保つために重要だと思います。長年外で働いてきた夫にとっても、家が新しい居場所となることに違和感があるかもしれません。しかし、互いの趣味や活動を尊重し、自分の時間を確保することで程よい距離感を保つことができるのではと思います。

人生100年時代のセカンドライフは、どのようになっていくのか予想も出来ませんが、継続雇用、起業、老後資金、介護、相続など家族と密接に関わっていきますので、独断で走らず家族の理解、協力を頂いてから進めて頂ければと思います。 継続雇用、起業にかかわらず、家にずっといる生活を避けるためには、「生涯現役」を目指して適度に仕事を続けることが望ましいですが、例えば、月10万円程度を目標に、得意分野で起業して少しずつ収入を得ることは、リスクを最小限に抑えつつ生活費の一部を補う手段として有効だと考えます。このように、自分のペースで続けられる働き方は、家族の安心感を高めるだけでなく、夫自身の生きがいにもつながるのではと思います。

また、家庭内での役割を再確認し、家事にも積極的に協力する姿勢を持つことも大切です。これまで家計を支えてきた「大黒柱」から、セカンドライフの収入面においては年金にプラスするカタチで家族を支える「中黒柱」や「小黒柱」へと役割をシフトし、社会貢献も視野に入れることで家族からの信頼や安心感を得ることができると思います。さらに、地域社会とのつながりを深め、自分の特技や興味を活かした活動を通じて他者に役立つことで、自己実現と社会貢献が両立した豊かな生活が送れるのではないでしょうか。

結び
セカンドライフのための働き方の見直しは、家族の理解と協力が不可欠です。事前に話し合い、家族にとっても自分にとっても最適なライフスタイルを模索しましょう。自分の居場所を確保し、互いの時間を尊重し合うことで、程よい距離感を保ちながら健康的な夫婦関係を築くことができると思います。自分の得意分野や好きな分野で収入を得つつ、家族や社会に対しても貢献し、長寿化社会に適応した「社会人生涯現役」を目指すことが、これからのセカンドライフを充実させる鍵となるのではないでしょうか。

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