高齢者就業率世界ランキングは?

世界的に高齢化が進む中、日本は特に高齢者の就業率が高い国の一つとして注目されています。2023年のデータによると、日本の高齢者(65歳以上)の就業率は25.2%であり、韓国(36.2%)、アイスランド(32.3%)に次いで世界第3位の水準となっています。一方で、アメリカ(18.6%)、カナダ(13.9%)、イギリス(10.9%)、ドイツ(8.4%)といった欧米諸国と比較しても、日本の高齢者の労働参加率は際立って高いことがわかります。
これは日本における高齢者の働く意欲の高さを示すものですが、同時に経済的な理由によって働かざるを得ない状況があることも事実です。本稿では、日本の高齢者就業の現状を分析し、今後の課題と対策について考察していきます。


65歳以上就業率の国際比較

1位韓国36.2%
2位アイスランド32.3%
3位日本25.2%
4位ニュージーランド24.9%
5位メキシコ24.6%
6位コロンビア22.5%
7位イスラエル20.9%
8位スウェーデン19.2%
9位チリ18.9%
10位アメリカ18.6%

日本の就業率の推移

60~64歳 (%)65~69歳 (%)70歳以上 (%)
2013年58.938.713.1
2014年60.740.113.4
2015年62.241.513.7
2016年63.642.813.7
2017年66.244.314.5
2018年68.846.616.2
2019年70.348.417.2
2020年71.049.617.7
2021年71.550.318.1
2022年73.050.818.4
2023年74.052.018.4

出典:OECD.Stat、総務省統計局「労働力調査(基本集計)

日本の高齢者の就業の現状

(1) 高齢者就業率の高さ
日本の65歳~69歳の就業率は52.0%、70歳~74歳で33.9%と、高齢になっても働き続ける割合が非常に高いです。さらに、75歳以上でも11.4%の方が就業しています。労働者全体に占める65歳以上の高齢労働者の割合は13.5%に達しており、少子高齢化が進む日本では今後もこの割合が増加することが予想されます。

(2) 非正規雇用の割合が高い
65歳以上の就業者のうち、非正規の職員・従業員の割合は76.8%を占めており、多くの高齢者が安定した雇用環境ではなく、パート・アルバイトや契約社員といった形で働いています。これは、企業側が人件費の削減を目的として高齢者を短時間労働や契約雇用で雇用する傾向が強いためです。

(3) 主要な就業分野
高齢者の就業先として最も多いのは農林業(約4分の1)であり、次いで卸売・小売業、サービス業、製造業が続きます。特に、農林業に従事する高齢者は地方部に多く、都市部では小売業やサービス業の就業が目立ちます。

(4) 高齢者が働く理由
高齢者が働く主な理由として、「経済上の理由」が最も高い割合を占めています。つまり、年金だけでは生活が厳しいため、生活費を補うために働く必要がある人が多いのです。一方で、「いきがい・社会参加」や「頼まれたから」といった社会的な理由で働く人も増えており、これは高齢者の就業が単なる経済的な必要性だけでなく、社会とのつながりを維持する重要な役割を果たしていることを示しています。

日本の高齢者就業の課題と対策

(1) 雇用の質の向上
日本の高齢者の多くは非正規雇用で働いており、収入が不安定な状況にあります。さらに、体力の低下や健康リスクを考慮した労働環境が整備されていない企業も多く、高齢者が無理をして働いているケースも少なくありません。高齢者が安心して働き続けられるようにするためには、企業側は労働条件の改善や柔軟な働き方の推進が求められると同時に、就労者サイドも50代に入ったら一度スキルの棚卸をし、リカレント教育で今後活かせる資格取得等準備を図りたいものです。

(2) デジタルスキルの向上
多くの業界でデジタル技術の活用が進む中、高齢者が新しい技術に対応できるよう支援することが重要です。特に、事務職やサービス業ではデジタル機器を使った業務が増えており、シニア層がこの変化に適応できるかどうかが課題となっています。したがって、高齢者向けのデジタルスキル研修などがあれば積極的に参加したものです

(3) 多様な働き方の確立
日本では高齢者の多くが経済的理由で働いていますが、「いきがいとしての就業」を支援する制度も整備することが重要です。 政府は就労の生涯現役を推奨していますが、再雇用ではいずれ第二の定年が待ち受けていますので、50代からの副業、兼業での小規模起業を選択肢に入れることも重要になってきます。

まとめとして・・・
生涯現役で社会と繋がり自分らしいセカンドライフを生きるために

日本では高齢者の就業率が高く、多くの人が経済的な理由から働き続けています。しかし、単に生活のために働くのではなく、生きがいを感じながら働くことが、充実したセカンドライフの実現には不可欠です。そのために、以下の3つの視点が重要になります。

第一に、自分の強みを生かせる仕事を選ぶことです。長年の経験やスキルを活かし、無理なく働ける環境を選ぶことで、仕事への満足度が高まります。例えば、講師やコンサルタント、地域の支援活動など、自分の知識を生かせる仕事は起業を含め多くあります。

第二に、新しいスキルを学び、柔軟な働き方を取り入れることです。特にデジタルスキルの習得は、オンラインでの仕事や副業の機会を広げ、収入の安定にもつながります。また、パートタイムやフリーランスなど、多様な働き方を組み合わせることで、無理なく長く働くことが可能になります。

第三に、社会とのつながりを大切にすることです。働くことは経済的な理由だけでなく、人との交流を通じた精神的な充実にもつながります。地域活動やボランティアを通じて新しいコミュニティを築くことで、仕事以外の生きがいも見つけることができます。

生涯現役でいるためには、「働かされる」のではなく、「自ら選ぶ」ことが大切です。自分の価値観に合った働き方を模索しながら、柔軟なライフスタイルを設計することで、豊かで充実したセカンドライフを実現できるでしょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次