これにより、国民年金(基礎年金)の満額受給者の場合、年間の支給額は約79万5,000円から約81万円程度に増加する見込みです。
一方、厚生年金の平均支給額は個々の加入期間や報酬額によって異なりますが、平均的な受給者の場合、月額で約15万円前後とされています。今回の1.9%の増額により、月額で約2,850円、年間で約34,200円の増加が見込まれます。
年金額の改定には、「マクロ経済スライド」という仕組みが適用されていて、これは、現役世代の人口減少や平均余命の伸びを考慮し、年金財政の持続可能性を確保するために、物価や賃金の上昇率から一定の調整率を差し引く制度です。その結果、年金の増額幅が抑制されることがあります。
2025年の名目手取り賃金変動率+2.3%とマクロ経済スライド調整-0.4% 24日に2024年消費者物価統計が発表されたことを受けて、厚生労働省は2025年度の公的年金支給額を1.9%引き上げると発表。
名目賃金変動率が2.3%であるにも関わらず、2025年度の年金額の改定率は、1.9%になるということです。 つまり、物価の上昇ほどには年金額が引き上がらず、シニア世代にとっては年金が「実質目減り」ということになります。
このような調整により、年金受給者の実質的な購買力が低下する可能性があります。特に、物価上昇が年金増額率を上回る場合、生活費の負担が増加することが懸念されます。したがって、年金受給者は自身の生活設計を見直し、必要に応じて追加の収入源や支出の見直しを検討することが重要です。
日本の公的年金制度の主な種類
- 国民年金(基礎年金):20歳から60歳までの全国民が加入する年金で、主に自営業者や学生が対象です。保険料は定額で、受給資格を得るには最低10年間の保険料納付が必要です。
- 厚生年金:会社員や公務員が加入する年金で、給与に応じて保険料が決まります。国民年金に上乗せされる形で支給され、将来的な年金額も給与に連動します。
- 共済年金:かつて公務員や私立学校教職員が加入していた年金制度で、2015年に厚生年金に統合されました。現在は厚生年金として扱われますが、過去の加入者には特例が適用される場合があります。
離婚時の年金分割については、
主に厚生年金が対象となります。婚姻期間中に夫婦の一方が厚生年金に加入していた場合、その保険料納付記録を分割することが可能です。これにより、専業主婦(夫)など収入がなかった配偶者も、将来的に年金を受け取る権利を得ることができます。
ただし、国民年金は分割の対象外です。年金分割の手続きを行う際には、離婚後2年以内に所定の手続きを行う必要があります。詳細については、専門家や公的機関に相談することをお勧めします。
年金制度は複雑であり、個々の状況によって受給額や手続きが異なります。最新の情報や詳細については、厚生労働省の公式サイトや年金事務所にお問い合わせください。
参考:厚生労働省厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」 https://www.mhlw.go.jp/content/12502000/001383981.pdf