小規模起業—「うまく行かない日」が未来を作る

10月になると思い出すことがあります。
それは、私が自然栽培無農薬茶販売の新規事業を始めた時期です。
当時、ベトナム駐在の経験を活かし、現地の「蓮芯茶」と日本の無農薬自然栽培茶をブレンドしたオリジナル商品を思いつき商品化しようと考えました。健康志向や癒しのブームが広がりつつあったこともあり、「小さく始めるにはちょうどいい」と思い、個人事業としてスタートしました。

しかし、2020年に販売を開始する予定でしたが、準備を始めて間もなく新型コロナが拡大し、予定していたベトナム訪問は叶いませんでした。当初は「半年ほどで落ち着くだろう」と思っていたのですが、気づけば3年が経ち、結局4年目で事業を締める決断をしました。

結果だけを見れば「失敗」と言えるかもしれません。
けれど、早期退職をして起業を簡単に考えていた私がこの経験から学んだことも少なくありませんでした。 

まず、初期投資はできる限り抑えること。
次に、仕入れ原価は販売価格の3割以下に抑えること。
ECモールは見えないコストが多いことを身をもって知り、
固定費削減のホームページの内製化、更に最小人数でスタートできる仕組みと無理なく継続できる体制が何より大切だと痛感しました。

これらは、次の挑戦を進めるうえでの大きな財産です。負け惜しみこじつけも多少あるとは思いますが、失敗を恥じるのではなく、実際に行動し、経験したからこそ見える現実が貴重なのだと感じます。

高い授業料だったと言えるかも知れませんが、これから起業を考えている方には、わたしに限らず身近に失敗を経験しながらも今もなお事業を続けている人がいればその方の知恵を借りることを強く勧めたいです。そうすれば、リスクを最小限に抑えながら、自分らしい起業の形を見つけられるはずです。

大きな資金を動かすスタートアップや法人設立は、ファンド会社や専門コンサルタントの領域にお任せするとしてど、「自分の得意を活かして小さく始める」小規模起業は、生活の延長線上でできる身近な働き方です。失敗しても立て直しやすく、軌道修正もしやすい。その代わり、地道な継続力が求められます。

起業には失敗のリスクがつきものです。けれど、会社員や再雇用だけに依存する時代も、もう“絶対の安心”はありません。大切なのは、リスクを最小限に抑えながら挑戦し続けるための仕組みを持つことです。資金管理、原価意識、情報発信、仲間づくり——これらは一度身につければ、次の挑戦の武器になります。

わたしは、現在テナント業とコンサルティング業が主軸ですが、「自分の手で生み出し、改善し、挑戦する」という流れは変わりません。今、「住まいに特化したコンサルタント業」の立ち上げ準備を進めています。日本が高齢化社会に向かう中で、空き家や相続、介護、エコ、多様な生き方など住まいの課題は複雑に交差しています。これまでの経験を活かし、セカンドライフにおける「暮らしと仕事の再設計」をサポートすることが目標です。

人生100年時代。
働き方にも、生き方にも、かつてのような「正解」はありません。
早期退職公募が2025年既に一万人を超えていますが、その対象になる世代こそ、これまで培ってきた経験と人脈を活かし、「小さくても自分で稼ぐ」という選択肢を持つことで、会社に依存せず、自分らしい人生をデザインできる時代と言えると思います。

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