定年は夫婦関係にも大きな転機になる
長年働いてきた夫が定年を迎え、家にいる時間が増えると、多くの妻たちが心のどこかで感じることがあります。それは「夫がずっと家にいるのが、なんだかつらい」という本音です。決して夫を嫌っているわけではなく、むしろ感謝もしている。それでも、生活リズムの違いや距離感の変化からくるストレスを抱える人は少なくありません。
定年は夫婦にとって第二のスタート地点。これから先の時間を心地よく過ごすために、わたし自身も心がけている「4つの習慣」をご紹介します。
1. 「家の中の役割」を見直す習慣
現役時代、夫は外で働き、妻は家のことを担うという役割分担が続いていたご家庭も多いのではないでしょうか。しかし、定年後は夫婦どちらも“家にいる人”になります。なのに、妻だけが炊事・洗濯・掃除と家事全般を担い続けると、不満が募るのは当然です。
まずは、「家の中のことは二人でやる」という意識を持つこと。妻に家事を丸投げするのではなく、「一緒にやってみようか」と声をかけることがスタートです。料理を作るのが苦手なら、買い物や食器洗い、ゴミ出しなど得意なことから始めても良いでしょう。
お互いに新しい役割を見つけ、気持ちよく助け合うことで、「なんで私ばかり…」というストレスは確実に減っていきます。食事を作らない”休食日”を週1~2日設定したり、基本半分半分を心がけ、やってる感は出さないように・・・
2. 「ひとり時間」を確保する習慣
定年後の夫が一日中リビングに座ってテレビを見ている。妻は台所に立ちながら、その姿を横目にモヤモヤ…。よくある風景です。
夫婦といえども、四六時中一緒にいると息が詰まります。適度な距離感を保つためにも、「ひとり時間」はとても大切です。たとえば午前中はそれぞれの趣味や外出に時間を使い、午後は一緒にお茶を飲むなど、自然とすみ分けができると理想的です。
「同じ家にいても、別の時間を生きる」——この感覚をお互いが持つことで、相手の行動が気にならなくなり、ストレスも減少します。家族の時間、お互いのそれぞれの時間・・・わたしは図書館で起業に関する調べものに充てたりしています。
3. 「会話の質」を変える習慣
定年後は、夫婦で過ごす時間が増える一方で、会話が減ってしまうこともあります。特に、長年「業務連絡のような会話」しかしてこなかった夫婦の場合、「何を話していいかわからない」と感じることも。
そんなときこそ、「今日あった小さなこと」を話す習慣を作ってみてください。今話題の豪華客船クルーズなどをきっかけに、買い物で見つけた季節の果物の話、町で見かけた花の話、図書館での話。どんなにささいでも、会話が増えれば心の距離も近づき”対話”になっていきます。 また、相手の話を一方的に否定せず、「へえ、そうなんだ」といった相づちを入れるだけでも、会話の雰囲気はぐっと柔らかくなります。
4. 「社会とのつながり」を持ち続ける習慣
定年後の生活で最も大切なのは、夫婦それぞれが「社会とのつながり」を保ち続けることです。夫が家にこもって誰とも話さず、妻だけが地域活動や趣味の仲間と関わっていると、夫婦間でギャップが生まれやすくなります。
逆に、夫が外に居場所を持ち始めると、妻も自分の時間を持ちやすくなります。自治会や趣味のサークル、シニア向けのボランティア活動など、きっかけは何でも構いません。
大切なのは、「家庭内だけに閉じこもらない」こと。夫婦ともに外の世界と関わることで、互いに新しい話題ができ、暮らしにハリが生まれます。
最後に:定年後の夫婦関係は「育て直し」ができる
定年は、夫婦にとって「終わり」ではなく「変化の始まり」です。若い頃にはできなかったこと、言えなかったことを、これから少しずつ取り戻していくチャンスでもあります。
「パートナーが家にいてつらい」と感じる前に、ちょっとした習慣を積み重ねて、心地よい第二の人生を一緒に育てていきたいものです。