TAIGAコンシェルジュ事務所の1階にあるジェラート店「VITALI」さんが、日本テレビ系列の情報番組『シューイチ』で紹介されました。オープンからちょうど1年。夏のジェラートはイメージしやすいものの、冬にどうなるかは正直なところ予測できませんでした。それでも1年を通じて、自由が丘を訪れるお客様に少しずつ認知され、季節を問わず立ち寄っていただけるようになってきたようです。
7月のオンエア後の週末には、さらに多くのお客様が来店され、店内は人でいっぱいに。炎天下の中、外で並んで待ってくださる方の姿も見られました。
この光景を見て感じるのは、「固定観念の変化のスピードが加速している」ということです。私たち50代60代世代の感覚では、「夏はアイス、冬は鍋」といったように、季節ごとの楽しみ方がある程度決まっていました。しかし今や、季節や時間帯に縛られないライフスタイルが定着しつつあります。気温に関係なく、好きなものを、好きな時に、好きな場所で楽しむ。そんな自由なスタイルが当たり前になってきているのです。
この「ライフスタイルの変化のスピード」は、我々世代の“働き方”にも同じように当てはまると感じています。かつては「定年=引退」という図式が一般的でした。60歳、あるいは65歳で仕事を辞め、退職金と年金で悠々自適な老後を過ごす。それが多くの人にとっての理想とされてきました。
しかし、いつの間にか「人生100年時代の到来」と言われはじめ、そうしたモデルだけでは生活が成り立たない現実があります。今では定年後も働き続ける人が増え、「社会人生涯現役」という言葉も現実味を帯びてきました。
企業も「定年延長」や「再雇用制度」などに取り組みつつありますが、一方で“早期退職の募集”といった動きも依然として見られます。国も企業も、高齢者雇用という課題に対して明確な答えを持たず、問題の先送りを続けている印象が否めません。
そんな中、私たちが強く感じているのは、「国や企業に頼らない働き方の選択肢を、自分自身で増やしていくことの大切さ」です。
特に定年後という“人生の後半戦”では、従来の「雇われる働き方」ではなく、「自ら創り出す働き方」が、有力な選択肢となります。たとえば、ジェラート店横にあるLUUPポートですが、自宅の小さい空き地を活用するポートスペースレンタル事業のように、小さなスペースから始められるスモールビジネス。または、自分の経験を活かして誰かをサポートするコンシェルジュ業、オンライン講座やカウンセリングなど、資金や体力に頼らず始められる小規模(マイクロ)起業の形もあります。
実際、VITALIさんのような業態は、冬にジェラートという一見ハードルの高そうなチャレンジですが、ライフスタイルの多様化とともに通年で需要があることを証明しています。かつての「冬に冷たいものは売れない」といった常識が崩れた今、ビジネスの可能性は、自分自身の価値観や柔軟性次第でいくらでも広がっていくのです。
「30年、40年間身を粉にして働いてきたのだから、第二の人生は・・・」「定年後、年金だけでは生活が大変なのに・・・」と思っていたことが、実は“次のステップの入口”かもしれません。
私自身、60代を迎えてからFP(ファイナンシャルプランナー)や食品衛生責任者、グリーンティーインストラクターなどの資格を取得し、セカンドライフが小規模起業で選択肢が広がることを実践。それまでの経験をシェアできればと社会人生涯現役を続けています。
過去の肩書きや働き方にとらわれるよりも、「これからどのように収入と生きがいのバランスをとって生きたいか」が、今の時代においてはより重要です。
仕事は、生活の糧であると同時に、社会とつながる手段でもあります。誰かの役に立ち、必要とされる喜びを感じながら働けること。それは収入以上に、心の豊かさをもたらしてくれるはずです。
変化の激しい時代だからこそ、「選択肢を持つこと」が最大の武器になります。国や企業に答えを求めるのではなく、自分の人生のハンドルは自分で握る。そんな生き方こそが、次の時代のスタンダードになっていくのではないでしょうか。
都市再開発の渦中にある自由が丘。その中で多様な店舗が生まれ、変化を体現しています。ジェラートが季節を超えて受け入れられるようになったように、私たち自身も、思い込みや固定観念を少しずつ溶かしながら、新しい働き方、新しい生き方を描いていく時なのかもしれません。