「これから老後資金を貯めないと」と思っていた矢先に、親の介護が始まりました。
50代というのは、まさに“自分の将来”と“親の今”が重なるタイミング。現役世代として働いているにも関わらず、老後の不安はつきまとい、そこへ追い打ちをかけるように親の介護がのしかかってくる——それが“ダブルケア”の現実です。
要介護認定、そして最初の転機
私の場合、母が要介護認定を受けたのは80代後半の頃でした。最初は足腰が悪くなり、歩行器が必要に。軽い認知症も出始めて、徐々に動けなくなり要介護3に・・・、そして地域包括支援センターに相談したのが私が58歳の時、何の準備もせずの介護スタートですが、ここが最初の転機でした。
介護保険制度はあるけれど
介護保険制度によってサービスは利用できますが、全額がカバーされるわけではありません。たとえば、デイサービスやヘルパーの利用も、要介護度に応じて支給限度額が決まっており、それを超えた分は自己負担になります。また、施設入所となると月々の費用は平均15〜25万円。要介護度が高くなるほど、必要なサービスも、費用も増えます。
実際、公益財団法人生命保険文化センターの調査によると、介護に適した住宅改造や介護ベッドの購入など、「一時的にかかるかかる介護費用」の平均は74万円。
一方で、介護サービス利用や介護用品購入費など「毎月かかる介護費用」の平均は8.3万円。 介護期間の平均は61.1ヶ月で約5年、総額で500万円前後になります。これはあくまで平均で、在宅か施設か、地域やサービス内容によって大きく差が出ます。
自宅介護か施設か——迷いと現実のはざまで
私の母は、要介護3から5へと進行し(最後は要介護4)、在宅介護では24時間対応が出来ず、特養に申し込みも検討しましたが、順番待ちが900番弱で入所に2年間ほど見ていて欲しいとのことで、在宅介護を選択。
訪問入浴、在宅診療、マッサージ、介護食等毎日2名~3名のヘルパーさんが来る感じで、費用は多い時月20万円を超えたこともあります。母の年金では足りず、月に数万円を私が補填する生活が続きました。介護ベッドも要介護度によって変える必要があることも知らず、福祉用具はレンタルにシフト、訪問ヘルパーの方々も支援してくれますが、夜間のトイレ誘導や寝ているときの身体変換は結局家族の役目。コロナ禍ということもあり、外に働きに行けず、夜は家族、姉たちと交代で3時間おきに母を起こして寝返りを打たせる日々を数ヶ月続けました。
ケアマネジャーとの付き合い方がカギ
在宅介護を覚悟して、介護保険サービスの窓口となるのが「ケアマネジャー(介護支援専門員)」です。介護では、この人がまさに“ナビゲーター”になるのでどんなサービスがあるのか、費用はどのくらいか、制度の仕組みや地域の情報まで、頼れる存在です。ただし、担当者との相性も大切。自分の希望や不安をしっかり伝えられる関係性を築くことが、介護の質にも直結します。
私の場合、担当のケアマネさんはご自身も親御さんを介護されている方で、介護経験者の立場で親身になって話を聞いて下さり、介護サービスの選定や段階的に介護度上る中での診療体制との連携もスムーズに進みました。
そして、自分の老後は?
親の介護に集中していると、自分の老後準備は後回しになりがちです。しかし、介護が終わったあとに残るのは、他でもない「自分の人生」です。
介護をきっかけに退職や転職を余儀なくされる人も少なくありません。年金だけでは生活が不安で、「働き続けたい」と思っても、60代以降の再就職は厳しいのが現実です。
私自身、母の介護を経験する中で、「何かあれば施設に入ればいい」と安易に考えていた自分に気づきました。実際には、施設に入れるかどうかは状況次第であり、その前に介護と就労を両立できる環境をどう作るかが重要なのだと痛感しました。
年齢や体力に応じた働き方を確保し、無理なく収入を得られる手段として、小さな副業から始め、定年後も続けられるような小規模起業を模索し始めたのです。柔軟に働ける起業スタイルであれば、介護と仕事を両立する選択肢が広がります。
介護は終わりの見えにくい長期戦。だからこそ、自分自身の人生設計も同時に考えていく必要があります。
まとめ:話し合い・制度理解・自分の備えが“ダブルケア”のカギ
親の介護と自分の老後——どちらも避けて通れない現実です。親が元気なうちに「将来どうしたいか」を話し合っておくことは大事です。けれど、現実には「まだ大丈夫」「お金の話はちょっと…」と、なかなか踏み込めないものです。
私自身も母と介護について話す機会をつくらずに過ごしてしまい、いざという時、どこまで在宅でできるのか、どの施設が良いのか、右往左往しました。
しかし、不安を抱えたまま立ち止まっていても、状況は何も変わりません。まずは情報を集め、制度を正しく理解し、親ときちんと話し合う。そして、自分自身の「これから」も見据えて準備を始めることが大切です。
“ダブルケア”は決して楽な道ではありませんが、それでも、一歩踏み出すことで、迷いや不安は少しずつ小さくなっていきます。今できる備えが、未来の自分をきっと守ってくれるはずです。
私は、現在 義母と同居していますが、 実母での経験を活かし、”終活”の話をするのは申しないなと思いつつもしっかり話いから始めています。