50代からの親の扶養控除について ・・・ 親の収入が低い場合、扶養に入れることで税金や社会保険上のメリットを受けられる場合があります。 #「年収の壁」ともリンクし、実際にはデメリットも存在するため、メリット・デメリットや手続き上の注意点を理解しておくことが大切です。

親を扶養に入れる条件
扶養には「税金の扶養」と「社会保険の扶養」の2種類があり、それぞれに異なる条件があります。どちらの扶養に該当するかは、それぞれの収入基準などに基づいて判断します。

税金の扶養
親を税金の扶養に入れることで、扶養控除の適用を受けられます。親の年間所得が48万円以下(給与収入の場合は年収103万円以下)の場合が対象です。年金収入のみの場合、65歳未満は108万円以下、65歳以上は158万円以下の収入が基準になります。また、給与と年金の両方を受け取っている場合には、合計して計算する必要があります。

社会保険の扶養
親を社会保険の扶養に入れると、親の健康保険料負担が免除され、子供の保険の被扶養者として健康保険の適用を受けることが可能です。収入要件としては、年間130万円未満であることが基本であり、60歳以上や障害を有する場合は年間180万円未満まで認められます。同居している場合は収入が扶養者の半分未満、別居している場合は仕送り額未満でなければなりません。また、75歳以上になると、後期高齢者医療制度に移行するため、扶養に入れることはできません。

親を扶養に入れるメリット
1.税負担の軽減
親を税金の扶養に入れると扶養控除を受けられ、課税所得が少なくなるため所得税や住民税の負担が軽減されます。例えば、親が70歳以上の場合、同居であれば最大58万円、別居でも最大48万円の所得控除が可能です。課税所得の減少により所得税や住民税の合計で数万円から十数万円の節税が見込めます。

    2.健康保険料の負担軽減
    親が社会保険の扶養に入ると、健康保険料が免除されるため金銭的な負担が軽くなります。また、高額医療費制度を利用する際に、親と子の医療費を合算することで自己負担額が軽減されるケースもあります。なお、親を社会保険の扶養に入れることができるのは、親の年齢が74歳までです。 親の年齢が75歳になると、後期高齢者医療保険への加入が義務付けられ、子供の健康保険に加入することはできなくなります。

    親を扶養に入れるデメリット
    1.医療費負担が増える可能性
    親を社会保険の扶養に入れると親と子が同一世帯とみなされ、所得が合算されることで高額医療費の自己負担限度額が引き上げられる場合があります。例えば、子供の年収が高いと限度額が80,100円以上となる可能性があり、親の単独世帯でいるよりも医療費負担が増えるリスクがあります。

    2.介護保険料の増加
    親が65歳以上で、扶養に入り同居している場合、介護保険料の基準となる収入に子供の収入も含まれるため、親が負担する介護保険料が増加する可能性があります。場合によっては従来の倍以上の介護保険料が発生するケースもあります。

    3.介護サービス利用料の増加
    介護サービス利用料も同様に、親と子の収入が合算されるため、自己負担額が増えることがあります。扶養に入れる前と比べて、親の収入のみで計算されないため、介護サービスを頻繁に利用する場合は慎重な判断が必要です。

    扶養に入れる際の注意点
    手続きが別々で必要
    税金と社会保険の扶養手続きは異なるため、どちらにも親を扶養に入れる場合は、それぞれ別々の申請が必要です。税金の扶養は年末調整の際に申告書を通じて行い、社会保険は勤務先を通じて協会けんぽなどに手続きを依頼します。

    ・税金だけ、社会保険だけいずれか片方のみ扶養に入れることも可能
    税金と社会保険のどちらか一方のみで扶養に入れることもできます。税金の扶養に入れることはデメリットが少ない一方で、社会保険では収入や年齢制限によるデメリットがあるため、最適な方法を選択することが大切です。特に多いのは、税金だけ扶養に入れ、社会保険は扶養に入れないというパターンです。

    まとめ
    親を扶養に入れることで税負担や健康保険料の軽減などのメリットが得られる一方で、医療費や介護保険料の増加といったデメリットも発生する可能性があります。今まさに審議中の「年収の壁」とも密接に関連してきますので、扶養に入れるかどうかは、親と子供の収入状況や将来の負担をよく考え、勤務先や税理士等にも必要に応じて相談し、慎重に判断するようにしたいものです。。

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