「定年後の30年間に#老後資金2,000万円を確保すること」と「毎月5万円を小さく稼ぎ続けること」、本当に難しいのはどちらでしょうか?

「老後に2,000万円が不足する」——この言葉が世間を騒がせたのは2019年のことです。公的年金だけでは生活費が月に約5万円足りず、それが30年続けば約2,000万円の不足になるという試算。報告書は撤回されましたが、根本の課題が消えたわけではありません。

実際、ベンチャーサポート相続税理士法人が2024年に実施した「老後資金に関する調査」によると、老後資金として65歳までに貯蓄した金額で最も多かった回答は「500万円未満」の31.3%でした。では、定年後の人生30年で1,500万円を貯め直すことができるのか。私はその問いに、正直「難しい」と感じました。だからこそ、毎月5万円を“稼ぎ続ける”方が、私には現実的な道だと思えたのです。

早期退職を選び、小規模起業の道を模索し始めたのは、そんな背景からでした。もちろん、準備は一筋縄ではいきません。シニア起業コンサルタントに相談したいと思いましたが、人生100年時代に対応した包括的な相談先はほとんどなく、手探りで少しずつ整えていく日々。思えば、もっと早く——50代のうちに準備しておけばよかったと、悔やまれることが少なくはありませんでした。

再雇用から再雇用先を繋いでいくという選択肢もありますが、年齢とともに選べる職種は限られてきます。65歳を過ぎれば、事務職の求人はほとんど見かけなくなりました。仮に雇ってもらえても、賃金は低く、モチベーションは上がらず時間の自由も利きません。

その点、小規模起業で月に5万円、10万円稼ぐことは、決してハードルが高すぎる目標ではありません。何より、自分のペースで働けることが大きな魅力です。時間の自由があるからこそ、親の介護にも柔軟に対応できました。且つ、それが自分の得意なこと好きなことであれば生きがいややりがいも感じられます。

規模は小さくても、代表として名刺を持ち、自分の看板で仕事をするのは、日々にハリをもたらします。「今日は何をしようか」と前向きに考える気力が湧く。これは、雇われの立場では得られなかった感覚です。

しかも、初期投資は意外と少なくて済む(わたしのように早めに準備していなかったら別ですが・・・)。ホームページも自作すればコストは抑えられ、作業は自宅で完結。アルバイトや再雇用を週1日増やす程度で、ビジネスの土台は十分に維持できます。

もちろん、起業にはリスクも伴います。でも、起業といっても何も大きな会社をつくる必要はないのです。自分が無理なく続けられるスモールビジネスこそ、これからの時代に合った社会人“生涯現役”のかたちだと思うのです。

起業のテーマは、特別なスキルがなくても構いません。たとえば、地域の高齢者にスマホの使い方を教える、パソコンを教える、軽作業のお手伝いをする、介護の経験を活かして家族の相談に乗る——そんな“自分にできること”から始めればいい。

実際に私は、いくつかの資格を取りながら、自分の強みや経験を少しずつビジネスに転換してきました。すぐに利益が出るわけではありませんが、月に5万円の目標であれば、現実味があり、続けるほどに育っていく感覚があります

ぜひ皆さんも、次の問いを自分に投げかけてみてください。
「定年後の再雇用で2,000万円を貯めること」と「毎月5万円を小さく稼ぎ続けること」、本当に難しいのはどちらでしょうか?
また、「再雇用と並行しての小規模起業」だと、どうでしょうか

そして、もし小規模起業のほうが自分に合っていると感じたなら、小さくてもいい、準備だけでも良いので一歩を踏み出してみてください。50代からでも遅くはありません。60代でも、70代でも、挑戦する価値はあります。 現業があるうちに、また再雇用先がある間に、生活を安定させながら時間を味方にして、自由とやりがいを手に入れる。そんな老後の生き方が、今ならまだ選べるのです。 
わたしのようにサラリーマンを33年間続けてきたアナログ人間でも小規模起業を続けられています。

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