2/4:50代以上をターゲットにした理由とシニアマーケットの可能性
しかし、老後資金問題や年金、介護問題といった不安を煽る情報があふれる中で、自分が「生涯現役」を目指して漠然とながらも小規模起業を考え始めた際に、包括的且つ具体的にアドバイスを得られる相談先がなかったのです。特に、若い担当者から提示される60代以降のソリューションは、早めの貯蓄、資金運用、就労延長が中心で、50代までとあまり変わりはなく、現実味を感じられませんでした。
定年退職後の人生が20年30年以上あることを考えると、生涯現役で仕事をすることが不安を払拭する最良の判断と捉え、好きなこと得意な事で、年金だけでは不足する月10万円の収入を目指し、自分のセカンドライフの経験を活かせるコア視聴率層以上をターゲットに小規模で、リスクも極小さく起業することにしました。
シニアマーケットを選んだ理由はいくつかありますが、大きくは以下の4つのポイントにまとめられると思います。
1. 市場規模の拡大
高齢化が進む日本において、シニア層全体の消費活動が増加しており、市場規模も年々拡大しています。みずほ銀行が発表したレポートによれば、2025年にはシニア市場の規模が100兆円を超えると予測されています。具体的には、医療や介護産業が約50.2兆円、生活産業(生活必需品や娯楽)が約51.1兆円を占めるとされています。
2. 競争が比較的少ない市場
現在の広告業界では、13歳から49歳までの「コア視聴率」に該当する層が購買意欲の高いターゲットとして注目され、多くの企業がマーケティング活動を展開しています。一方で、50代以上の世代は「必要なモノはほぼ揃って、必要最小限のモノしか購入しない」傾向があり、健康食品や終活サービスといった特定分野に特化した企業でない限り、広告費用対効果が悪くアプローチが難しいとされています。
このことから、シニア層向けのマーケットは企業の競争が比較的少なく、特化型のサービスで勝負しやすい市場と言えると思います。
3. 新しい市場、サービスの創出可能性
「人生100年時代」は、これまで誰も経験したことのない時代です。高齢化の進展に伴い、これまでに存在しなかったニッチな市場が無数に生まれる可能性があります。例えば、介護、相続、終活などは誰にも訪れ、代行ビジネスあるいは、地域で小規模起業家同士が協力し合い、シニア向けの新しいサービスや商品を開発・提供することも有効な戦略の一つになると思います。
4. シニアマーケットの理解が成功の鍵
シニアマーケットに参入する際、シニア層の実体験に基づく深い理解が不可欠になると思います。多くの起業コンサルやセミナーが存在する一方で、実際に介護や年金問題等シニアの悩みを経験したことがない人が提供するソリューションには、説得力が欠けることが少なくありません。
一方で、同じ年代の経験者が具体的な事例をもとにアドバイスすることで、より信頼性の高いサービスを提供できると思います。
まとめとして
一攫千金を目指したい人や、起業を本業として収入の柱に据えたい人には異なる選択肢もあるかもしれません。 また、企業に属しながら生涯現役を続けることはほぼ不可能になります。そのため、「好きなことで小さく起業」することが、社会とつながり続けながら家族との関係や時間を大切にし、生きがいを持って人生を充実させる最も現実的な手段となると思います。
退職してからハローワークに登録したこともありますが、まず最初に言われたのは「事務職に拘らないでください」でした。内閣府が公表している高齢化の推移と将来推計によると、2025年に日本の総人口における65歳以上の割合は30%を超えることが解っています。
今後三人に一人が高齢者になり、且つ年金だけでは生活費が不足する人の割合も6割弱ということを鑑みますと、これからも職を求めてシニアの労働市場に押し寄せてくると思います。 ゆっくりと仕事を自分のペースで楽しむどころか就職氷河期以上に厳しい就労環境が容易に予測されます。
極小起業の月10万円の収入でも、生きがいや社会との繋がり、また家族以外のコミュニティが出来ることは、金額以上にモチベーションを感じること請け合いです。
次回は、持続可能なビジネスモデル(SDGsへの対応)についてを予定しています。