#定年後のキャリアをどう選ぶか? 〜再雇用・転職・起業、それぞれの満足度と現実的な選択肢〜

60代以降の働き方には、主に「今の会社で再雇用を選ぶ」「新たな職場へ転職する」「独立・起業する」の3つの選択肢があります。では、どの選択肢が最も満足度が高いのでしょうか?

65歳までは「雇用の確保」が完全に義務化されたこともあり、再雇用や継続雇用などで比較的仕事が見つかりやすい傾向がありますが、66歳を過ぎるとその状況は一変。再雇用や転職のハードルが格段に高くなり、就労機会が激減します。だからこそ、定年後の働き方を考える際には、「現役時代の延長線上」で捉えるのではなく、新たな視点で設計することが重要です。

定年前後の人生を3つのフェーズで考える
定年後のキャリア形成は、次の3つのフェーズで考えるとわかりやすくなります。

■ 50代:「備える世代」 〜セカンドライフの地図を描く〜
キーワード:準備・見直し・棚卸し・学び直し

  • 人生後半の価値観や資産の棚卸し
  • 健康・家族・お金・住まいの再設計
  • 起業や働き方の可能性を探る準備期間

■ 60〜65歳:「つなぐ世代」 〜年金までのラストラン〜
キーワード:過渡期・収入の確保・実践・挑戦

  • 定年や退職後の年金空白期間をどう乗り切るか
  • 起業や副業で「収入のすき間」を埋める工夫
  • 「小さく始めて経験を積む」期間としての位置づけ

■ 66歳以降:「拓く世代」 〜生涯現役への道〜
キーワード:起業・地域との関わり・自己実現・社会貢献

  • 年金+αの収入づくりとしての起業
  • やりがいや生きがいを追求するフェーズ
  • 「自分だからできる仕事」を地域や社会に還元

2025年4月からの新制度と3つの選択肢
2025年4月から、企業は65歳までの雇用確保を義務付けられます。しかし、これは「定年65歳」が義務化されたのではなく、「65歳までの雇用を希望する従業員全員を雇用する」という義務です。具体的には、定年を引き上げ、65歳までの継続雇用制度を導入、または定年制を廃止するいずれかの措置が必要です。背景には国の年金問題への対策がありますが、企業側がシニア層の積極的採用に動いたものではないことがうかがえます。

66歳以降の就労については、引退を除くと大まかには以下の3つのモデルが現実的な選択肢となります。

年金+再雇用(資格取得による就労継続プラン)
50代のうちに資格取得をしておくことで、履歴書や面接時にアピールでき、66歳以降も働く選択肢を広げられます。ただし、69歳を超えると職種の選択肢は急激に狭まり、就労の難易度は上がります。

年金+小規模起業プラン
起業に集中できますが、ビジネスが軌道に乗るまでは収入が得られず家族の理解を得るのが難しい場合があります。

③ 年金+再雇用+小規模起業並行プラン
再雇用で生活基盤を維持しながら、自分の得意なことや好きなことを活かして副業的に小さな起業を始めるスタイルです。定年後の選択肢として最も柔軟で現実的です。

満足度が高いのは「過去の経験を活かす」働き方
インターネット情報や調査資料から見えてくるのは、「60代半ば頃までは、現役時代の経験を活かせる仕事」の満足度が高いということです。たとえ役職や年収が下がっても、「自分の経験が社会に生かされている」という実感が、働く意欲と幸福感を支えます。

だからこそ、60代半ばまでは再雇用や経験を生かした働き方を選び、同時に“次”を見据えて動くのが理想です。

なぜ「小規模起業」が現実的なのか?
起業といっても、大きな会社をつくる必要はありません。むしろ、年金の不足分を補う月5~10万円程度の「小さな起業」で十分です。小規模起業が有効な理由は以下の通りです。

  • 企業の高齢者採用は消極的(若年層への投資を最優先)
  • 国は高齢者就労を促進したい(年金制度の抱える課題)
  • モチベーションの維持(生きがい・社会参加)
  • 定年の“再来”に備えられる
  • 内製化によるコスト削減が可能

そして、起業なら社会人としての「生涯現役」が可能。健康である限り、自分のペースで社会とつながり続けられます。

起業の持続・成功には“持続力”と“ネットスキル”が不可欠
小規模起業を持続させるには、インターネットのスキルが必要不可欠です。なぜなら、外注すればコストがかかり、都度の発注では時間もかかるからです。自分でホームページをつくり、SNSで発信し、集客・運営を自走できる力が求められます。
わたしはアナログ世代ですが、今ご覧になっている程度のホームページであれば、ワードプレスなどのコンテンツ管理システムなどを活用すれば自社による制作もそれほど難しくはありません。

このような準備は、50代のうちに本業と並行して少しずつ始めておくのが理想です。本業~再雇用の安定収入を得ながら、起業の土台を築いておくと、70代に入ってもスムーズに事業を続けられます。
今流行りのリカレント(教育)ブームで、週末の30分、1時間をそこに投資することで未来の選択肢を着実に増やすことが出来ます。

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