大幅な賃上げの影で困難続く# “就職氷河期世代”

2025年の春闘の集中回答日を迎え、今年も大手企業を中心に「満額回答」が相次ぎました。これは2023年、2024年に続き3年連続のことです。特にスーパーや外食産業では大幅な賃上げが実現し、『ライフ』は月1万6000円以上の賃上げ要求に満額回答、『餃子の王将』を展開する『王将フードサービス』は月3万円を超える満額以上の回答を示したてます。また、『トヨタ自動車』も5年連続で満額回答を実施。

新たな問題につながる可能性も…大幅な賃上げの影で困難続く“就職氷河期世代”
[2025/03/13 ] テレ朝news

賃上げの恩恵が届かない中小企業の課題
一方、大企業と比べて賃上げが進みにくい中小企業では依然として厳しい状況が続いています。日本労働組合総連合会(連合)は、今年2月の会見で「昨年は33年ぶりの高い賃上げ率を実現したが、大企業と中小企業の賃上げ格差は連合設立以来、最も大きくなった」と指摘。連合は中小企業の賃上げ目標として、6%以上、月1万8000円以上を掲げています。しかし、実際にこの水準に達するかどうかは不透明であり、依然として大企業との格差が広がる可能性があります。

世代間の格差も顕著に
賃上げの動向を見ると、企業の多くが若年層の給与引き上げを優先しています。昨年の賃上げ分を見ると、30歳程度までの「若年層」に重点的に配分した企業は34.6%でしたが、45歳程度までの「中堅層」では9.4%、45歳以上の「ベテラン層」はわずか1.1%にとどまりました。特に影響を受けるのが「就職氷河期世代」と呼ばれる現在の43歳から55歳の人々です。

この世代は、バブル崩壊後の1993年から2004年頃に就職活動を経験しました。1991年には2.86倍あった大卒の求人倍率が、2000年には1倍を割り込み、多くの若者が就職難に直面しました。希望の職に就けず、非正規雇用や厳しい労働環境の職場で生計を立てるしかなかった人も多く、現在の賃金格差につながっています。

氷河期世代の賃上げは進むのか?
経済エコノミストは、「40~50代の賃金は上がりにくい」と指摘。その理由として、「企業は人手不足のなか、若くて優秀な人材を確保することを優先し、賃上げの原資は若年層に振り分けられる。一方で、40~50代の労働者は人数が多く、企業にとって賃上げの負担が大きい」と説明しています。さらに、氷河期世代については「賃金に不満があっても転職しないだろう」と考えられていることも、賃上げの遅れにつながっています。

氷河期世代の賃金が上がらないことで、新たな社会問題が発生する可能性を指摘します。「氷河期世代は、納めた社会保険料が少ないため、将来的に受け取れる年金も少ない。物価上昇が続く中、家計が苦しくなる世帯が増える可能性がある。さらに、氷河期世代は約2000万人の規模を持つ“消費者”でもあり、この世代の消費が鈍ると経済全体に悪影響を及ぼす可能性がある」と警鐘を鳴らします。

企業は氷河期世代を戦力として活用できるのか?
国はこの世代のキャリア形成を支援するため、ハローワークに専門窓口を設置し、リスキリング(学び直し)支援を進めています。これにより、転職やキャリアアップの機会を増やし、待遇改善を目指しています。
今後の展望について「企業の人手不足が続くなかで、経験やスキルを持つ人材を年齢に関係なく好待遇で採用する企業は増えていくだろう」と分析されていますが、さらに、「企業間で人材の引き抜き合いが活発化し、貴重な人材が他社に流出するのを防ぐために、氷河期世代の賃上げが進む可能性もある」と述べ、今後の動向に注目が集まっているようですが・・・

賃上げの波は広がるのか? 
今年の春闘では、大企業を中心に満額回答が続いたものの、中小企業や就職氷河期世代にその影響が及ぶかどうかは依然として不透明です。
政府や企業の取り組みが進み、より多くの世代や企業に賃上げの恩恵が広がるかどうかが今後の日本経済の大きな鍵となるでしょうが、氷河期世代への待遇大幅改善を期待して時を待つのか、あるいは無い前提で準備をするのか・・・。
わたしは10年前に早期退職して起業しましたが、その後の10年間の政府や企業の動きをみてもシニア層就労環境改善への施策の後回し観は否めず、兼業起業していなかったらと思うとぞっとします。 

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