恩送りファンド実験で見えた、伴走支援の最初の壁
「困っている人を支援したい」
そう思って始めた伴走型支援ですが、実際に走り始めると、理想だけでは進まない現実に直面します。
現在、TAIGA恩送りファンドの支援実験は、最初の大きな検証段階に入っています。
これまでの3か月間は、比較的順調でした。
- 何を事業にするのか
- 誰の役に立ちたいのか
- どんなセカンドライフを目指すのか
- 小規模起業としてどこまでを目標にするのか
こうした土台作りを一緒に整理し、ロードマップを共有しながら進めてきました。
今回のテーマは、イラストを活用した供養サービス。
しかし、打ち合わせを重ねる中で、単なる「イラスト制作」では差別化が難しいことが見えてきました。
そこで、
「イラストを描くこと」ではなく、
“供養に対する罪悪感を軽くし、生活に自然に馴染む供養”
へと再設計を行いました。
これは、単なるデザイン修正ではありません。
事業コンセプトそのものを、一度戻って再構築する作業です。
しかし、この“戻って考え直す工程”が、想像以上に難しく感じています。
ここで、伴走支援の最初の壁が見えてきました。
「自分事化」のフェーズで止まる
ここまでは、支援者側が伴走しながら方向性を整理してきました。
ですが、次の段階として、
「自分自身で考え、動くフェーズ」
に移行しました。
そこで導入したのが、
- 翌月の課題を3つ、自分で決める
- 先月どこまでできたか確認する
- できなかった理由を整理する
- 次月の行動を決める
というシンプルな進捗確認です。
ところが、ここで予想外の軌道修正が生じ、停滞が起きました。
「何を課題にしたら良いか分からない」
ので、止まってしまうのです。
これは、単なる作業遅延ではありません。
むしろ、
「伴走支援を自分事化できるか」
という、恩送りファンドの本質的なテーマが見え始めた瞬間でした。
「困っている」と「変わりたい」は違う
今回、非常に考えさせられたことがあります。
それは、
「困っている」と「変わりたい」は別のもの
ということです。
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相談時には、確かに悩みがあります。
- 収入への不安
- 将来への焦り
- セカンドライフへの迷い
- 年金だけでは不安
- 働き方を変えたい気持ち
しかし、それと、
「自分から動きたい」
は、必ずしも一致しません。
人は、困っていても現状維持を選びます。
なぜなら、変化には恐怖があるからです。
特に50代・60代の小規模起業では、
- 失敗できない
- もう年齢的に遅いのでは
- 本当に自分にできるのか
- 家族に迷惑をかけたくない
という不安が非常に大きい。
だから、頭では理解していても、行動に移せない。
これは怠けではなく、多くの人に起こる自然な反応なのだと思います。
支援者が動かし過ぎてもいけない
ここで、伴走支援特有の難しさがあります。
支援者側が強く引っ張れば、一時的には前に進みます。
しかし、それを続けると、
「やらされる起業」
になってしまう。
本人の意思ではなく、支援者の熱量で動いている状態です。
これでは長続きしません。
小規模起業は短距離走ではなく、長距離走です。
特にセカンドライフ起業は、
「無理なく続けられること」
が極めて重要になります。
だからこそ、
- 動かし過ぎてもいけない
- しかし待ち過ぎても止まる
この距離感が非常に難しい。
今、恩送りファンドは、その最初の関門に直面しています。
「伴走支援」が機能する条件が見えてきた
しかし、今回の停滞は失敗ではありません。
むしろ、大きな発見でもありました。
伴走型支援が機能するためには、
「本人の中に、小さくても主体性の火種があること」
これが非常に重要なのだと見えてきたのです。
支援者ができるのは、
“火をつけること”ではなく、
「消えそうな小さな火を守ること」
なのかもしれません。
実際、前へ進める人たちは、
- 完璧ではない
- 知識も少ない
- 資金もない
それでも、
「このままでは終わりたくない」
「小さくても一歩踏み出したい」
という感情を持っています。
その小さな意思が、少しずつ行動へ変わっていく。
逆に、
「困り事だけを解決したい」
段階では、伴走支援は空回りしやすい。
これは、今回の恩送りファンド実験で見えてきた、大きな学びでした。
恩送りファンドは「お金を渡す支援」ではない
恩送りファンドは、単なる資金提供ではありません。
本質は、
「もう一度、自分で歩き出せる状態を作ること」
にあります。
だからこそ、
- すぐ成果を求め過ぎない
- しかし放置もしない
- 時には問いを投げかける
- 時には待つ
- 時には小さな成功体験を一緒に作る
そんな支援が必要になります。
今回ぶつかった壁は、恩送りファンドの弱点ではなく、
「伴走支援とは何か」
という本質に近づき始めた証なのかもしれません。
支援とは「答えを渡すこと」ではない
今回、改めて感じたことがあります。
人は、誰かに人生を変えてもらうことはできません。
変化は、最終的には本人の中からしか生まれない。
支援とは、
「答えを渡すこと」
ではなく、
「自分で動き出せるまで寄り添うこと」
なのだと思います。
簡単そうに見えて、実はとても難しい。
恩送りファンドの支援実験は、まだ始まったばかりです。
ですが、最初の壁にぶつかったからこそ、
本当に必要なセカンドライフ支援や小規模起業支援の形が、少しずつ見え始めています。
「困っている」と「変わりたい」は違う。
この現実をどう乗り越えるか。
答えはまだ出ていません。
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プロフィール
1年目・実験宣言
TAIGA恩送りファンドを支える事業
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