#60歳以降の給与相場と老後の生活費について

定年後の再雇用では、給与が定年前に比べて減少するケースが多く見られます。国税庁の「2021年分 民間給与実態統計調査」によると、60歳以降の給与は(5年刻み)以下のように推移しています。

年齢階層別の平均給与(2021年)

55~59歳:全体 529万円(男性 687万円、女性 316万円)
60~64歳:全体 423万円(男性 537万円、女性 262万円)
65~69歳:全体 338万円(男性 423万円、女性 216万円)
70歳以上:全体 300万円(男性 369万円、女性 210万円)

50~59歳では給与は増加傾向にありますが、60歳以降は減少し始めます。特に男性では、55~59歳の687万円から60~64歳で537万円に大きく落ち込むことがわかります。再雇用などで働く60歳以降の給与は、大企業と中小企業で大きな差はないとされています。

高年齢者雇用安定法と再雇用後のサポート
日本では、高年齢者雇用安定法により、企業は希望する従業員に対して65歳までの雇用を確保する義務があります。60歳到達時に比べて給与が75%未満に低下した場合、「高年齢雇用継続基本給付金」や「高年齢再就職給付金」を受け取ることが可能です。再雇用で働く場合、国民年金への影響はなく、厚生年金には引き続き加入し、保険料を納める必要があります。

老後の基本的な生活費
総務省の「家計調査(2022年)」によると、65歳以上の無職世帯における平均的な生活費は以下の通りです。
夫婦世帯:月額約24万円
単身世帯:月額約14万円

これは基本的な生活費であり、ゆとりのある老後生活を望む場合には、さらに追加の費用が必要です。生命保険文化センターの調査によると、「ゆとりある老後生活」を送るための生活費の平均は月額37.9万円となっています。

公的年金の受給額
老後の主な収入源となる公的年金の平均受給額は、厚生労働省によると、老齢厚生年金の平均受給月額は約14.4万円です。これは、厚生年金と老齢基礎年金の合計額です。自営業者などで国民年金にのみ加入していた場合は、老齢基礎年金の満額で月額約6.8万円(2024年度)となります。

総務省の調査では、65歳以上の夫婦無職世帯が社会保障給付として受け取る額は月額約22万円です。つまり、年金だけで老後の生活費全額をまかなうのは厳しいため、貯蓄や追加の収入源が必要となります。

老後にかかる生活費以外の費用
保険料:老後も生命保険やがん保険に加入し続ける場合、保険料がかかります。保険の種類や加入状況によって費用は異なります。
子どもや孫への支援:子どもや孫への経済的な援助(結婚や出産、教育費など)が必要になる場合があります。これも予期せぬ支出として考慮する必要があります。
教養・娯楽費:65歳以上の無職世帯における教養・娯楽費の平均は月額約2.1万円です。これには旅行や趣味のための支出が含まれますが、これ以上に楽しみたい場合は、さらに費用がかかります。
医療費・介護費:老後には医療費や介護費が大きな負担となることがあります。70歳以降、所得に応じて医療費の自己負担は1割から3割に設定されていますが、現役並みの所得がある場合には負担が増える可能性があります。また、介護が必要になった場合は、公的介護保険による支援があるものの、自己負担も発生します。
自宅のリフォーム費:高齢者になると、自宅をバリアフリー化したり、リフォームが必要になることがあります。これも老後の重要な支出の一つです。
葬儀費:葬儀やお墓の準備などにも費用がかかります。あらかじめ貯蓄や保険で備えることが一般的です。

葬儀関係で思い出しましたが、葬儀にまつわるわたしが経験した想定外での支出は墓仕舞い費用でした。 故郷に戻る予定がなくなり処分しましたが、葬儀費用と同じくらいかかりました。

60歳以降の再雇用では給与は減少し、公的年金も生活を賄うには不足しがちです。老後の生活費だけでなく様々な費用がかかる可能性がありますので計画的に貯蓄し、わたしのように退職してからの起業ではなく、50代現業のあるうちに、社会人生涯現役のための極小=マイクロ起業にチャレンジしてみるのも一つの選択肢なのではと思います。 定年前のトライアルですので、万が一うまくいかなかったとしても、元の再雇用に戻せば良く家族への負担もそれほど大きくはならないのではと思います。

出典:国税庁の「2021年分 民間給与実態統計調査
   総務省の統計局ホームページ/家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年) (stat.go.jp)

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