社会人としてのファーストライフ30年間の締めとセカンドライフの30年間をどう設計するか、その分岐点が現業のある50代だと考えています。

現在、私たちのライフプランは大きな変革期を迎えています。かつては、学校を卒業してから約35年ほど働き、その後は数年間の老後を過ごすことが一般的な人生設計でした。しかし、今や「人生100年時代」と言われる時代です。就労期間は55年にも及び、高校卒業後に就業すると、場合によっては60年以上働く人も少なくありません。このような長寿化と労働環境の変化により、従来の「一生懸命働き、老後に休む」という考え方は、もはや現実に合わなくなりつつあります。特に老後資金の面では、現状のままでは対処しきれない課題が増えています。

50代の皆さんは 出世の可能性があり役員を目指す人、継続再雇用で65歳まで働くつもりの人、それこそ定年後引退を考えている人、いろいろな選択があると思いますが、現実的に70歳の方の約半数弱が働いている現状を鑑みると、セカンドライフにおける仕事は、単なる再雇用や定年後の延長線上にある働き方ではなく、自分の人生に新しい意義や生きがいを見つけ、柔軟に社会と関わり続けることがなにより大事になると思います。

企業が定年制度を設ける背景には、「そろそろ会社を離れても良い時期」というメッセージが込められているとも思います。この現実を受け入れつつ、自分の豊富な経験や退職金、年金を活かして、企業に依存しない生き方を考えることも大切だと思います。例えば、自分の好きなことや得意分野での起業に挑戦し、生涯現役を目指す生き方はどうでしょうか。残りの時間を社会貢献や家族、自分のためにどう使うかを意識することで、より充実したセカンドライフを送ることができると思います。

私自身は、60代から起業に挑戦しました。退職してからの準備で計画が遅れ、更に投資も嵩みましたが、その間社会環境も大きく変化してきています。兼業や副業を推奨・承認する企業が増え、リモートワークやインターネットの普及により、起業のハードルが下がり、働き方も多様化しています。その一方で、65歳以降は再雇用先で希望の職業に就ける人は少なく、就けたとしても「定年」が再び訪れる不安がつきまといます。

50代後半から60代の方々は、特に社会貢献や自己実現を通じた充実感を求める傾向が強まります。また、年金や貯蓄だけで十分な生活を維持できる方は少なく、多くの方が何らかの形での収入を求めざるを得ないのが現実です。このため、在職中から小さな起業やフリーランスとしての活動を少しずつ始めることで、長期的な経済的安定につなげることが有効だと思います。従業員も週末起業や、兼業や副業を活用し始めており、働き方の多様化が進んでいます。
特に50代は、豊富な経験を活かして、比較的体力的な制約も少なく、子育てなども一定落ち着きつつあり新しいことに挑戦しやすい時期になると思います。

それを裏付けるように「2020年版中小企業白書」によると、フリーランス起業家の年齢構成では、男性で50〜59歳が30.8%、60歳以上が16.4%と、ミドル~シニアの起業家が増えていることがわかります。また、中小企業庁の調査によると、起業後の生存率は5年後で約80%、10年後で約70%、20年後で約50%と、高いモチベーションでの持続的な活動が、安定と充実感を生むことが示されています。

一方で、生命保険文化センターの調査によると、82.2%の人が自分の老後生活に不安を抱えています。再雇用として企業に残ることも一定期間の安定を得る手段の一つですが、その場合、自己実現や生きがい、家族との時間を犠牲にすることもあるでしょう。むしろ、ファーストライフを「続ける」のではなく、新たな人生をデザインし、価値を見出す姿勢が大切だと思います。月10万円程度の小さな起業であっても、生涯現役で続けることができれば、将来の不安の払拭につながる近道になるのではないでしょうか。

セカンドライフの約30年間は、家族や社会と向き合う時間を大切にし、自己成長と充実感を重視したライフスタイルが望まれると思います。現役世代の「経済活動」とは異なる「生きがいとしての活動」を意識し、自分自身の充実感を得られる働き方を模索することが、人生100年時代の豊かな生活に繋がる鍵になると思います。

弱気になったとき自分の心をリセットする格言の一つです。
Action is the foundational key to all success.  By Pablo Picasso

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