50代以降の起業では、慎重な計画と柔軟な対応が求められます。私が経験したベトナム #蓮芯茶の輸入販売事業は、ベトナムに現地法人を設立する大掛かりなもので、その教訓を深く実感した例です。

私のベトナムでの蓮芯茶事業は2017年に始まりました。ベトナムに現地法人を設立し、ベトナム特有の「蓮芯茶」を輸入し、日本市場で販売するという構想でした。蓮芯茶は、睡眠やリラックス効果があるとされる健康茶で、日本市場ではまだ知名度が低かったため、これを強みとして事業展開を目指していました。

蓮芯茶
蓮の芯(Tim Sen)は、蓮の実から一粒ずつ丁寧に取り出された貴重なお茶で、ストレス緩和やリラックスに効果があるとされています。ノンカフェインで自律神経を整え、心身をリフレッシュするため、特に就寝前に飲むと効果的です。また、楊貴妃が愛飲したとも伝えられる美容健康茶の一種で、美容にも良いとされています。蓮芯茶は、漢方のようなほのかな苦みが特徴。

自由が丘に小さいながら実店舗を構え、ECサイトでの販売も行う予定で、事業は順調に準備が進んでいました。さらに、国産の無農薬茶と蓮芯茶をブレンドすることで、日本人の嗜好に合った製品開発も進め、国内の健康志向の高まりに応える形での展開を考えていました。
ところが、準備が整った矢先に新型コロナウイルスのパンデミックが発生。現地法人の運営も、渡航できずに宙に浮き、日本での販売も全てがストップしてしまいました。最初の頃は「3か月で再開できるだろう」と楽観的に考えていましたが、状況は改善せず、次第に「もう3か月、さらに3か月」と事業の再開を延ばし続けることになりました。最終的に、2年半の間ベトナムには一度も行けずに、ホーチミンの事務所にもその間一度も行けずじまいで、蓮芯茶の輸入事業は断念せざるを得ませんでした。 

その後は事業の方向性を見直し、国産農家さんの無農薬茶のみを取り扱う自然栽培茶専門店「お茶のある暮らし」として展開することにしました。 以前のコラムでご紹介させて頂いた、九州国産6農家さんの無農薬自然栽培茶です。 国産無農薬茶は健康志向の高い消費者に支持される可能性があり、国内での仕入れや販売のコントロールもしやすいため、リスクが少ないと考えたからです。しかし、蓮芯茶の持つ独自の差別化要素が弱まったことで、競合との差別化が難しくなり、国内市場では思うような結果を得ることができませんでした。

結局、3年目でこの事業から撤退することになりましたが、この経験から改めて起業理念を自問自答する機会を得ました。
・好きなこと得意な仕事であったのか、
・それまでの経験を活かせる領域だったのか
・目の届く範囲なのか(身の丈にあった事業なのか)
・内製化して管理費の削減を極力抑えたか・・・

特に、50代以降の起業では、無理な投資を避けることが重要です。大きな投資は、失敗した際に立て直しが難しく、資金繰りが厳しくなるリスクがあります。私自身、ベトナムの法人設立や蓮芯茶の輸入に多くの時間と自己資金を投じましたが、最終的には投資額を回収することができませんでした。また、事業の規模を無理に拡大しすぎないことも重要です。二国間などエリアを広げすぎると、管理が複雑で、コストが増加するばかりでなく、リスクも高まります。

一方で、国産無農薬茶の販売事業を通じて、WEBの運営コストの重さ、ECモールの高い手数料、管理費の高さなどから、小規模ながらも着実に運営できるビジネスモデルの大切さを痛感しました。 今運営しているテナント事業、コンサル事業はその反省から、自分の得意な領域、極小=一人起業に絞り込んでいったカテゴリーです。

特に50代以降の起業では、安定した収益を得るためには、大きなリスクを取らず、できるだけコストを抑えながら、自分の強みを活かす事業展開が鍵となります。このことがきっかけとなり、ご覧になっていただいているこのホームページもわたし自身で制作、コラムなども自分で管理することで、固定費を抑えることができています。

これらの経験を通じて、50代以降の起業では「大きな投資よりも小さな工夫」が重要であると強く感じました。自分の経験やスキルを最大限に活かしつつ、リスクを最小限に抑えることで、長く続けられるビジネスを構築することが可能だと思います。50代、60代であっても、自分のライフスタイルに合わせた柔軟なビジネス展開を目指し、社会とのつながりを保ちながら、充実したセカンドライフを送ることは十分に可能だと思います。 

マイクロ起業コンシェルジュのコンセプトは、基本は年金と再雇用でのセカンドライフの生活設計だと思いますが、50代の現業のあるうちに兼業・副業で起業検証をすれば、うまくいけば定年後 社会人生涯現役が目指せ、万が一うまくいかなかったとしても元鞘の再雇用に戻せば良いのではという考え方です。 悔いなく納得しての再雇用であることが大事なのではと考えています。

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