60代管理職の現状と日本企業の課題
日本の企業における管理職の年齢構成は、少子高齢化と終身雇用制度の狭間で大きな課題を抱えています。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、管理職の年齢分布は50代をピークに60代で急激に減少します。具体的には、部長職の割合が60代前半で8.8%、後半では2.7%、課長職ではさらに低く、60代前半で2.9%、後半ではわずか0.5%にとどまります。この背景には、役職定年や定年退職が一般的であることが挙げられます。
従来の年功序列型雇用制度は、組織内に安定した年齢ピラミッドが存在する時代には適していましたが、少子高齢化が進む現在の日本ではその効果が薄れています。高齢層の就労者が増加する中で、役職や待遇を確保できない就労者が増え、これが企業内のモチベーション低下につながっているのが実情のようです。
日本型雇用制度の再構築
従来の日本型雇用制度は、企業内の人口ピラミッドが若手中心であった時代に機能していました。しかし、現代では少子高齢化によってその基盤が揺らいでいます。このため、年齢を問わず一人ひとりが能力を発揮できる仕組みを構築することが求められていますが、特定の役職にとどまることに固執せず、現場で成果を出し続けられる柔軟なキャリア設計が必要になっていくと思います。
今後、企業サイドも以下のような取り組みが予想されると思います。
・役職定年後の活躍支援: 現場での指導役や専門職へのシフトを促し、経験を次世代に伝える役割を用意する。
・再教育・スキルアップの促進: 中高年社員が新しいスキルを習得し、現場で即戦力として活躍できる研修や資格支援を拡充する。
・フレキシブルな勤務形態の導入: 労働時間や働き方を柔軟に設定し、長期的に働ける環境を整える。
企業の変革を待ちながらもセカンドライフへの自己挑戦の必要性
一方で、政府や企業の変化を待っているだけでは、セカンドライフの準備が遅れてしまうリスクもあります。中高年社員自身が主体的に行動し、自分に合った働き方や生きがいを追求することが大切になってくると思います。
具体的には、以下のような選択肢があると思います。
- 副業や小規模起業への挑戦: 自身の経験やスキルを活かして、第二のキャリアを築く。
- 地域社会やボランティア活動への貢献: 社会に役立ちながら、生きがいを見つける。
- 専門職としてのキャリア再構築: 長年の経験を活かし、コンサルタントやアドバイザーとして活躍する。
これらの選択肢は、単なるキャリアの延長ではなく、個人の成長や社会への貢献を目指した新たなステージへの挑戦でもあります。
結び
こうした現状を見てわかるのは、職業人生の最後の瞬間まで高い役職を維持し続けるのは困難であり、生涯現役時代においては、キャリアのどこかの段階でポストオフに直面することを、誰しもがキャリアの大前提として考えなければならないということだと思います。
役職に就きながらただ漫然と現場で利益を生み出す社員を管理していれば許されるような働き方は、人生100年時代には、もはや通用しなくなるということだと思いますが、セカンドライフにおいて継続雇用・再雇用を選択するのか、あるいは小規模起業を目指すのか、現業のある50代に両方のシュミレーションをされておかれてはと思います。