日本の公的年金(厚生年金保険と国民年金)の運用はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が担っています。その運用資産額は約246兆円(2024年3月末現在)にのぼり、「世界の年金基金におけるGPIFの地位は堂々の第1位」となっています。
GPIFが投資運用する資産の構成割合は「国内債券」「国内株式」「外国債券」「外国株式」に4分の1ずつ。 これがGPIFが2020年4月から採用している基本ポートフォリオです。 この25%ずつの配分は、超長期でみた年金給付の必要分をきちんと埋めるという計算のもとに考えられた資産構成の割合になります。
それでは運用実績はと言うと・・・
令和5年度の運用実績は、45兆4153億円の黒字で、過去最大となりました。 また、収益率はプラス22.67%で、令和2年度に次いで2番目に高くなっています。
2024年度令和6年度通期の運用実績はこれからですが・・・
●2024年4~6月期の運用損益は、8兆9732億円の黒字でした。国内外の株式相場が堅調に推移したほか、為替の円安効果も大きかったことが要因です。
●2024年7~9月期の運用成績は、約9.1兆円のマイナス(期間収益率は▲3.57%)でした。日銀の利上げや米景気悪化懸念などが背景に、8月に一時円高・株安が進み、厳しい投資環境となりました。
出典:2024年度の運用状況|年金積立金管理運用独立行政法人
日本経済の現状と課題
2024年8月5日に日経平均株価は下落幅4451.28円、下落率12.4%という歴史的な暴落が起こった事も記憶に新しく、新NISAなどに投資された方も大きな不安を感じた方も少なくないのではと思いますが、
一般的に株式市場は、経済成長、企業収益、金融政策、国際情勢、投資家心理など、さまざまな要因に影響されます。日本の場合、特に経済の発展が株価に与える影響は大きいと言えますが、近年の日本経済には多くの課題が見られます。
2024年の時点では、日本の国内総生産(GDP)は米中、ドイツに次いで世界4位に、また2023年の日本の1人当たり名目GDPは、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中22位でした。これは前年と同じ順位ですが、比較できる1980年以降で最も低く、韓国(21位)を下回っています。
このような経済力の相対的な低下は、日本のマーケットの縮小や円安、さらには超高齢化社会という構造的な問題に起因しています。円安が輸出企業にプラスに働く一方で、輸入品価格の高騰が生活者に大きな負担を与え、消費の冷え込みを招いています。また、高齢化の進展に伴い労働人口が減少し、国内の消費市場も縮小していくことが懸念されています。
まとめとして
日本経済は円安や高齢化、GDPランキングの後退や一人当たり名目GDPの低迷といった課題に直面しています。株価上昇や年金運用の成功など明るい兆しもありますが、少子高齢化や経済力の低下は依然として深刻です。これらの解決には政府の政策に加え、個人の主体的な行動が不可欠です。人生100年時代の折り返しを迎えられる50代は、一人ひとりが経済の変化に備えることが重要で、起業や投資を通じ自らの未来を切り拓く努力は、将来の安定や経済活性化につながります。
日本政策金融公庫が公表している「2023年度新規開業実態調査」によると、 2023年に新規開業した人のうち、50代で開業した割合は20.2% で、 60代以上の6.1%と合わせると、新規で開業した人の約4分の1は50代以降の方々です。 起業は、例え小規模でも単に新しい収益を生むだけでなく、生きがいや社会人生涯現役を可能にし、地域経済を活性化する役割を果たします。。特に50代以上の経験を活かした副業やスタートアップは、人生100年時代に対応した社会づくりに貢献します。