#4月は年金支給月ですが、年金は「後払い方式」が採用されており、原則として偶数月に2ヶ月分ずつ支給されます。2025年度の年金額は1.9%増額になりますが、4月受給分は前月前の二か月分2月・3月分になりますので、新増額年金の受給日は6月13日(金)からになります。

2025年度の年金支給額について
厚生労働省が発表した2025年度の公的年金支給額は以下の通りです。

● 国民年金(老齢基礎年金)
・月額:69,308円
・前年度比:+1,308円(+1.9%)

これにより、満額で国民年金の月額はついに7万円に近づいてきましたが。
保険料も引き上げられており、国民年金保険料を納める方には次のような負担増になります。

  • 2024年度:16,980円/月
  • 2025年度:17,510円/月(+530円)
  • 2026年度:17,920円/月(+410円)

つまり、将来の受給額が増えるとはいえ、納付負担も増すことになります。  

● 厚生年金
厚生年金の支給額は加入年数や報酬額によって異なりますが、平均的な受給額は月額約15万円前後とされています。
今回の1.9%の増額により、以下のような増加が見込まれます。
・月額:約2,850円
・年間:約34,200円増  

● なぜ物価上昇に対して年金は「実質目減り」するのか?
2025年度の年金支給額は1.9%増額されますが、同年度の賃金変動率は2.3%とされており、差し引きで実質0.4%の目減りになります。

これは、「マクロ経済スライド」という制度が関係しています。
◆ マクロ経済スライドとは?
現役世代の減少や平均寿命の延びを考慮し、年金制度の持続可能性を保つため、年金額の改定時に物価や賃金の上昇率から一定の調整率を差し引く仕組みです。

2025年度の状況:
・名目手取り賃金変動率:+2.3%  
・マクロ経済スライド調整:-0.4% 
・実際の年金改定率:+1.9%

この制度により、物価の上昇に見合った年金額にはならず、「実質目減り」となるわけです。

● 年金から天引きされるものとは? 
65歳以上の方が受け取る年金からは、以下の項目が差し引かれます。

・ 主な控除項目(5つ)
1.所得税
2.住民税
3.介護保険料
4.国民健康保険料
5.後期高齢者医療保険料

これらは所得や家族構成などにより金額が変わりますが、目安として年金支給額から10~15%が差し引かれるとされています。

年金を受給する前に亡くなった場合はどうなる?
年金を長年納めたにもかかわらず、受給開始前に亡くなってしまった場合、「未支給年金」として遺族が受け取れる場合があります。

●未支給年金とは?
受給資格を持ちながら、年金受給前に亡くなった人に対して本来支払われるはずだった年金を、「遺族が請求することで受け取れる制度」です。

重要なポイント
支払先は故人の口座ではなく、請求した遺族に支払われます。
対象期間は、死亡した月分まで。それ以降の年金は支給されません。

請求できる遺族の条件と順位
未支給年金を受け取れるのは、亡くなった方と生計を共にしていた親族に限られます(別居でも仕送り等があれば対象となる場合があります)。

請求順位は以下の通り
1.配偶者(夫または妻)
2.子(実子・養子含む)
3.父母
4.孫
5.祖父母
6.兄弟姉妹
※上位の親族がいる場合、下位の親族は請求できません。

請求の期限に注意
未支給年金の請求は、死亡日の翌日から5年以内に行わなければなりません。期限を過ぎると受け取る権利が失効してしまうため、早めに手続きを行いましょう。

まとめとして
2025年度は年金支給額が増える一方、物価上昇を考慮すると「実質的な目減り」が発生していることが分かります。更には、年金からは各種保険料や税金が差し引かれ、実際の受取額は10〜15%ほど少なくなる点にも注意が必要です。

また、年金受給前に亡くなった場合でも、未支給年金を遺族が受け取れる制度があるため、万が一に備えて家族と情報を共有しておくことが大切です。

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