しかし、ここで重要なのは、役職定年を「終わり」と捉えるのではなく、「新たなセカンドライフへの始まり」と考えることだと思います。このタイミングをきっかけに、自分の好きなことを活かして起業し、生涯現役で社会と繋がり続けることを目指すのは、セカンドキャリアにおける有力な選択肢の一つだと思います。
役職定年後に直面する現実
役職定年を迎えると、給与が大幅に減るケースが多く、会社での地位や権限も縮小します。この状況は、プライドやモチベーションの低下を招き、心身ともに疲弊する人も少なくありません。それに加えて、会社への依存を続けても、65歳を過ぎれば多くの人が退職を迫られます。その後の人生は長く、定年退職後も20~30年という時間が待っています。この「セカンドライフ」をどう生きるかが、人生の充実感に大きく影響を与えると思います。
一方で、このタイミングを利用して、自分の好きなことを軸に起業準備を始めれば、人生の後半を自分らしく生きるための基盤を築けるかもしれません。役職定年を「自由な選択ができる期間の始まり」と捉えることで、心の在り方も変わり、積極的な未来展望を描けるのではないでしょうか。
「極小規模=マイクロ起業」で生涯現役を目指すという選択肢
「極小起業」とは、規模は小さくても、自分の特技や趣味、モチベーションを活かして、現役で働き続ける生き方を意味しています。大きなビジネスを立ち上げる必要はなく、最初は副業レベルでも良いのです。例えば、長年のキャリアで培った専門知識をコンサルティングとして提供する、士業の資格を取得してオンラインで集客する、趣味で学んできた料理や音楽を教える、繋げるといったカタチなどが考えられます。
起業活動を通じて、自分の知識や経験を活かすことで、収入面だけでなく、社会とのつながりや人との新たな出会いを得ることができます。特に、50代以上の方が持つ豊富な人脈や経験値は、起業という場面で大いに活かされるのではと思います。
起業準備は「現業」との両立から始める
起業に踏み切る前に、まずは50代での現業を利用して準備を進めることが得策です。多くの企業は、役職定年後も継続雇用の形で社員を受け入れます。この期間も想定して、自分の時間を調整し、起業の計画を立てることが可能になります。たとえば、休日や勤務後の時間を使い、必要な資格取得や市場リサーチを行う、SNSやブログを使って情報発信を始めるといったステップが取れると思います。
また、この期間は現業での収入源を確保したまま新たな挑戦ができるため、リスクを最小限に抑えつつスキルや知識を積む時間として活用できます。さらに、会社員としての豊富な経験を活かして、取引先や業界の動向を観察しながら将来の見込み客の開拓、新しいビジネスのアイデアを練ることも可能だと思います。
セカンドライフに充実感をもたらすもの
60歳以降のセカンドライフで重要なのは、「自分の役割を持つこと」と「社会とのつながりを保つこと」です。会社を離れた後も、社会に貢献できる場や新しい人間関係を築くことができれば、孤立感や無力感に悩まされることなく、前向きに生きることができるのではと思います。
起業は、たとえ極小規模でも、その意味で非常に効果的な方法だと思います。自分が得意とすることや好きなことを軸にして活動することで、自然と自分らしい人生を築けると思います。 わたしもまた小さく起業を営んでいますが、起業によって得られる達成感や充足感は、働く喜びを再確認させてくれています。
起業成功のポイント
役職定年後の起業を成功させるには、いくつかのポイントがあります。
- 極々小さく始める
大きな資金を投じたり、いきなりフルタイムで独立するのではなく、リスクを抑えつつ副業・兼業からスタートするのがおすすめです。 - 得意分野を活かす
これまでのキャリアで培ったスキルや知識を活用すれば、ゼロから学び直す必要がありません。 - 市場ニーズを把握する
自分の好きなことだけでなく、市場の需要を確認することで、収益性の高いビジネスを展開できます。 - 家族以外にも自分のコミュニティを作る
同じような価値観を持つ仲間や先輩起業家と交流することで、アイデアやモチベーションを高められます。 - 固定費を抑え持続できるカタチを創る
起業はすぐに結果が出るものではありません。WEBの内製化、資格取得など地道に努力を続ける姿勢が重要です。 - ニューノーマル、多様性など価値観の変化を柔軟に受け入れる
起業を持続させれば70歳でも80歳でも代表取締役の肩書で社会活動が出来、月10万円程の収入であったとしても細く長く、健康な内は生涯現役を自らデザインする時代に
家族との良好な関係と新しい人生を切り開くために
私の家族は早期退職した際、多少の不安を抱えていたようですが、今では仕事を生涯現役で続けられることに喜びを感じています。家族以外にも居場所となるコミュニティを確保できたことで、それぞれが自分の時間を持てるようになったことが大きな理由の一つだと思います。
また、自由に使える収入を得ることで不足する年金を補い、家事を分担することで、お互いが自分なりの楽しみ方を満喫できているのではないかと思います。
会社員として30年以上、身を粉にして働いてきたこともあり、ゆっくりしたいという気持ちも正直ありましたが、定年退職後に20年、あるいは30年という時間が待っていることを考えると、人生100年時代を迎えた今、定年後の生活をどう過ごすかが重要だと感じています。
毎日が日曜日のように家にいる生活が続けば、家族にとっても負担になるでしょうし、不足する年金を補いながら時間を有効活用する方法を見つけることも大事なのではと思います。役職定年は、人生の選択肢が広がる瞬間でもあります。この機会を活かして、自分らしい生き方を模索することが、人生の後半をより豊かにする鍵となるのではないでしょうか。
特に、起業を通じて得られるものは、単なる収入にとどまりません。新しい挑戦や達成感、人とのつながりといった多くの財産を手に入れることができます。極小規模でも起業に挑戦することで、自分自身を再発見し、充実したセカンドライフを築くための第一歩を踏み出すことができるのではと思います。