人生100年時代と言われる今、定年後の働き方は「余生」ではなく「第2の現役」として捉える人が増えています。中でも注目されているのが、定年前後の“セカンドライフ起業”です。
ただし、誰にでも向いているわけではありません。起業には向く人と向かない人がいます。それを見極めることが、後悔しないセカンドキャリアの第一歩になります。
起業に向く人の特徴
セカンドライフ起業に向いている人には、いくつかの共通点があります。
一つ目は、自分で考えて動くことが苦にならない人です。会社のように指示を待つ働き方ではなく、自ら考え、決断し、行動する姿勢が求められます。
二つ目は、失敗しても前向きに捉えられる人。起業は小さなトライ&エラーの連続です。うまくいかなくても「学びだった」と切り替えられる柔軟さが重要です。
三つ目は、誰かの役に立ちたいという思いを持っている人。社会との接点を持ち続けたい、人の役に立ちたいという気持ちは、事業の継続意欲にもつながります。
そして何より、小さく始められる人です。いきなり退職金を投じて大規模に始めるよりも、現業と両立しながら「兼業」「副業」としてスモールスタートできる人のほうが、リスクを抑えて続けやすいと感じます。
起業に向かない人の特徴
逆に、起業に向かない人の特徴も明確です。
まずは、すべてを完璧に準備しないと動けない人。起業において“完璧な準備”は存在しません。ある程度の情報や資源がそろったら、まずは動きながら考える必要があります。
次に、人に頼れない人も厳しいかもしれません。起業は孤独な作業に見えますが、実際には多くの人の支えやアドバイスがあって成り立ちます。助けを求められる柔軟さが不可欠です。 また、変化を避けたい人も起業には不向きです。社会や技術の変化に柔軟に対応しながら、自分の事業を進化させていく必要があるからです。
自分はどちらだったか? 模索しながらの挑戦
かくいう私自身は、早期退職前後は、自分がセカンドライフ起業に向いているかどうか分かりませんでした。そこで、再雇用と並行して小さな事業に挑戦する、という道を選びました。
最初は、再雇用+アジアン雑貨ショップ(一部自然栽培茶販売)。これは店舗運営、EC販売、受注・発送作業など意外と負荷が大きく、現業との両立が困難になりコロナも相まって断念。 ただ、雑貨からは天然石の可能性と、「もう少し身軽な形での起業はないか」と模索し、空いたスペースの有効活用で取り組んだのがテナント業(家賃収入)でした。これは手間も少なく、再雇用と両立可能なモデルでした。
やがてテナント業がある程度軌道に乗った段階で、コンサルタント業にシフトしていくのですが、FP資格取得を経て企業からのコンサル委託で蓄積した経験を活かし、現在の起業支援のTaigaコンシェルジュに繋がっています。事業としては小さくとも、人と向き合いながら伴走する仕事は、やりがいも大きく、年齢を重ねても続けやすいものでした。
さらに、年金受給後は時間的な余裕も出てきたことから、出来るだけコンサル業の専門優位性を高めるため今はマンション管理士の資格取得を目指しています。
小さく始めて、柔軟に広げる
このように私は、「現業+副業」のスタイルで小さく起業を始め、途中で業種を変えたり、資格を取ったり、Webスキルを習得したりしながら、少しずつ事業を育ててきました。
この段階的な進め方には、大きな利点があります。
一つは経済的リスクの最小化。再雇用や年金収入があることで、収入ゼロの不安を抱えずに挑戦できます。
もう一つは、向き不向きの見極めができること。やってみないと分からないことが多い中で、並行しながら少しずつ試すことで、自分に合ったスタイルが見えてきます。
最後に
セカンドライフ起業とは、必ずしも華々しいものではありません。むしろ、小さな挑戦の積み重ねの中にこそ、本当の喜びと成長があります。
向くか向かないかを悩むより、まずは「今の働き方+小さな挑戦」という形で動き出してみる。そうすることで、自分だけの働き方や生き方が、少しずつ形になっていくはずです。