65歳からの仕事探しは厳しい?シニア層の有効求人倍率0.2倍から考える「70歳まで働く」準備

中高年の就労環境については、これまでも何度かコラムで取り上げてきました。

先日、65歳で再雇用を終えた方の再就職を取り上げた記事を読み、ある数字に目が留まりました。

「60歳以上の事務職の有効求人倍率は0.2倍前後」

という数字です。

シニアの就業率についてはよく報道されますが、実際に65歳を過ぎてから仕事を探す際の「有効求人倍率」、さらに年齢と職種を組み合わせた数字は、意外と目にする機会が少ないように思います。

私自身67歳ですので、他人事ではありません。

まだ50代の方には少し先の話かもしれませんが、現在のシニア労働市場を知ることで、これからのセカンドライフや働き方を考えるきっかけになればと思い、少し調べてみました。

70代前半でも3人に1人以上が働く時代

まず、高齢者の就業そのものは確実に増えています。

内閣府の高齢社会白書によると、70~74歳の就業率は35%を超えています。今では70代前半でも3人に1人以上が働いていることになります。

企業の定年延長や継続雇用も進み、「70歳くらいまで働く」という生き方は、特別なものではなくなりつつあります。

では、私たちは何歳まで働きたいのでしょうか。

令和7年版高齢社会白書では、60歳以上全体で「75歳くらいまで」「80歳くらいまで」「働けるうちはいつまでも」と答えた人を合わせると4割を超えています。

現在仕事をしている60歳以上に限れば、「働けるうちはいつまでも」が33.5%。70歳くらいまで、あるいはそれ以上働きたい人を合わせると8割を超えます。

高齢期にも働きたいという意欲は、かなり高いと言えそうです。

しかし、ここにはもう一つの側面があります。

仕事をしている理由を聞くと、最も多いのは**「収入のため」55.1%**です。健康のため、社会とのつながりのため、経験を生かしたいという人がいる一方、生活のために働く必要がある人も少なくないことがうかがえます。

年金だけでは不安だから働く。

老後資金を少しでも増やしたいから働く。

住宅ローンや生活費を考えれば、まだ引退できない。

「働きたい人」が増えているだけでなく、これからは「働く必要がある人」も増えていくのかもしれません。

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65歳以上になると求人倍率はどう変わるのか

ここで気になるデータがあります。

愛知県のハローワーク津島が公表した2026年2月の年齢別データを見ると、常用フルタイムの有効求人倍率は、

60~64歳 0.57倍

65歳以上 0.25倍

でした。

65歳を境に、数字が大きく下がっています。

もちろん、これは一地域・一時点のハローワークの数字です。全国の65歳以上すべてが0.25倍という意味ではありません。

それでも、年齢が上がるにつれて新しい仕事を探すハードルが高くなる可能性を考えるうえでは、非常に興味深い数字だと思います。

一方、2026年6月の全国の有効求人倍率は1.18倍でした。

ところが、厚生労働省の職業情報を見ると、一般事務の有効求人倍率は2025年度全国で0.29倍です。

全体では1倍を超えているのに、一般事務では0.3倍を下回る。

ここに、セカンドライフ層の仕事探しを考えるうえで大きなポイントがあるように思います。

「セカンドライフ層の仕事がない」のではなく、希望する仕事が少ない

シニア雇用の記事を読むと、事務職と、警備・建設・介護・運輸などの現場系の仕事が対比されることがよくあります。

若い世代の雇用では「有効求人倍率○倍」と全体の数字が報道されることが多いのに、シニアになると「事務職は厳しいが、警備や現場職には求人がある」と語られる。

なぜでしょうか。

おそらく、シニア層のが希望する仕事と、企業が人を求めている仕事とのミスマッチが大きいからでしょう。

長年会社で働いてきた人ほど、

「これまでの経験を生かしたい」

「できれば事務系の仕事をしたい」

「体力的な負担の少ない仕事をしたい」

と考えるのは自然なことです。

白書でも、高齢者が現在の仕事を決めた理由では「自分の経験やスキルが生かせる」が上位にあります。

しかし、人気の高い事務職そのものの求人倍率が0.29倍。

そこに「65歳以上」という条件が加われば、選択肢はさらに狭くなることが想像できます。

だから「シニアには仕事がない」というより、**「シニアが希望する仕事は、求人そのものが少ない」**と考えた方が実態に近いのかもしれません。

「70代で働く人が多い」と「70歳から仕事を探せる」は別の話

もう一つ忘れてはいけないことがあります。

70~74歳の3人に1人以上が働いているからといって、その人たち全員が70歳になってから新たな仕事を探し、採用されたわけではありません。

60代からの継続雇用、自営業、会社役員、家業、以前から続けている仕事など、働き方はさまざまです。

つまり、

「70歳まで働いている人が多い」ことと、「70歳から希望する仕事を探しやすい」ことは別の話です。

私自身も、ここは少し混同していたように思います。

私も67歳。働き方を考えている一人です

私は33年間会社員として働き、56歳で早期退職しました。

退職後すぐに明確な目標があったわけではありません。

約1年半、「これから何をしていけばよいのだろう」と方向性を模索した時期がありました。

現在はTAIGAという活動を中心に、セカンドライフや小さな起業を考える方々のお手伝いをしていますが、私自身も67歳になった今、これからの働き方を考えている一人です。

週1~2日くらいで無理なくできる仕事はないだろうか。

これまでの経験を何かに生かせないだろうか。

事務系の仕事ならできるのではないか。

そう考えることもあります。

だからこそ、「0.25倍」「0.29倍」という数字には目が留まりました。

65歳になってからではなく、少し前から選択肢を持つ

もちろん、「65歳を過ぎたら仕事がなくなる」と言いたいわけではありません。

まして、「今から準備しなければ大変になる」と不安を煽るつもりもありません。

むしろ逆です。

こうした数字を少し早く知っておけば、選択肢を増やすことができます。

短時間勤務でもいい。

シルバー人材センターという方法もあります。

これまでの経験を誰かに伝える仕事もあります。

小さな起業や個人事業、地域活動、ボランティア、社会貢献という関わり方もあるでしょう。

収入を第一に考える人もいれば、社会とのつながりや、自分の役割を持つことを大切にする人もいます。

大切なのは、「65歳になったら仕事を探せばいい」と一つの道だけを考えるのではなく、50代、60代のうちから、

「自分は何歳まで働きたいのか」

「何のために働くのか」

「どんな仕事なら無理なく続けられるのか」

を少しずつ考えておくことではないでしょうか。

70歳を過ぎても働く人が珍しくない時代です。

だからこそ、「何歳まで働くか」だけではなく、**「どんな形なら、自分らしく社会と関わり続けられるのか」**を考えてみる。

今回、私が偶然目にした「有効求人倍率0.2倍前後」という、普段あまり目にすることのない数字が、ご自身のこれからを考える小さなきっかけになればと思います。

私自身も67歳になった今、その答えを探している途中です。

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