九州が海の中から初めて姿を現した場所と言われているのが、宮崎県西臼杵郡五ヶ瀬町にある祇園山と言われています。私は自然栽培茶の事業を立ち上げていた頃、九州の自然栽培茶農家さんを訪ね、無農薬の茶葉の仕入れるために同じ五ヶ瀬町の農園を訪れていました。その際に祇園山に立ち寄る機会を得ました。
観光旅行が目的ではなく、自由が丘に無農薬茶の専門店「お茶のあるくらし」をオープンする準備のため九州の6農園を回っていました。 そのうちの一軒で訪問した宮崎の農園さんから「この農園の近くに九州で最も強いエネルギーを持つパワースポットがあるのをご存知ですか?」と教えていただいたのがきっかけで、その近くにある祇園山に足を運びました。農園から車で15分ほど走ると、標高約1,300メートルの祇園山が姿を現します。この山は、4億3千万年前の化石が発見されており、九州最古の山としても有名です。地殻変動によって最初に九州島が顔を出した、まさに「九州の誕生の地」と言われています。
祇園山の麓には祇園神社が鎮座しており、知る人ぞ知るパワースポットです。観光客は多くないものの、静かで厳かな雰囲気が漂い、そこにいるだけで凛とした空気に包まれ、心が洗われるような感覚を覚えました。また、祇園神社は熊本県の弊立神宮からもそれほど遠くはなく、少し足を延ばして参拝することで、さらにご利益があるかもしれません。
また、祇園神社から車で数分のところには妙見神水が湧き出ており、この水はアルカリ性でミネラル成分を豊富に含んでいます。安産祈願や健康のために、この水を求めて遠方から訪れる人も多く、持ち帰る人も多くいるそうです。この妙見神水は平成の名水100選にも選ばれており、鞍岡地区の田畑を潤す灌漑用水の水源地にもなっています。
祇園山を訪れたことは、私の新規事業の立ち上げにおいて一つの転機になったと思います。この地で感じた無農薬茶と自然との共生は、循環型ビジネスへの道を示し、折からのSDGsの浸透ともシンクロしていきました。私の新規事業への想いは、競合から協調へ、自然環境に配慮した持続可能なビジネスモデルへと変遷していったと思います。
事業を立ち上げる過程では、多くの困難や迷いがありますが、起業は自分のセカンドライフをデザインする一種のカンバスのようなものだと思います。そこでは、自分の好きなこと得意なことで社会と繋がり、次世代に引き継ぐべき価値を見極め、社会に貢献できる事業を育む・・・稼ぐだけではないそれらが、生涯現役で続けられるモチベーションになるような気がしています。
大きな成功を求めるのではなく、社会が本当に必要とする事業を見据え、少しずつでも未来へ向かって前進していくことが大切だと感じています。祇園山での体験を通じて得たこの感覚が、私の起業理念の礎となり、自然と共生する持続可能なビジネスを通じて、今の閉塞感漂う社会を作ってきた当事者の一人として、お役に立てればと考えています。持続可能な循環型新規ビジネスを展開することで、少しでも社会に貢献できるようにしていければと考えています。