※本記事は2026年時点の情報に基づき一部更新しています。
「退職金があるから老後は何とかなる」
そんな時代が、少しずつ終わり始めているのかもしれません。
厚生労働省の「就労条件総合調査」によると、大卒・管理職等で勤続20年以上の定年退職者の平均退職金は、1997年の2,871万円から、2023年には1,896万円まで減少しました。
実に約975万円もの減少です。
さらに現在では、退職金制度そのものを導入していない企業も増えています。2023年時点で、退職給付制度がある企業は74.9%。つまり、約4社に1社は退職金制度がない時代になっています。
なぜ退職金は減っているのか?
背景には、いくつかの大きな変化があります。
① 終身雇用型から「成果主義型」へ
以前は、
「長く勤めれば退職金が増える」
という年功型が主流でした。
しかし現在は、
- 成果主義
- ジョブ型雇用
- 役職連動
- 人件費最適化
などを導入する企業が増えています。
その結果、
「長く勤めたから高額退職金」
という前提が崩れ始めています。
② 定年延長で“退職金の出口”が変わり始めた
2025年4月からは、企業に「65歳までの雇用確保」が義務化されました。
ただし、これは
「65歳定年の義務化」
ではありません。
多くの企業では、
- 定年延長
- 再雇用制度
- 嘱託化
などで対応しています。
ここで注意したいのが、
「退職金の支給タイミング」です。
60歳で一旦退職金を支給する会社もあれば、
65歳まで繰り延べる会社もあります。
また、
- 再雇用で年収大幅減
- 退職金算定期間の変更
- 役職定年との組み合わせ
など、実質的に生涯収入が減るケースも少なくありません。
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「自己都合退職」で大きく差が出る時代
退職理由によっても金額差は大きくなっています。
特に近年は、
- 転職
- 早期退職
- キャリアチェンジ
- 独立
が増えていますが、自己都合退職では退職金が減額される企業も多くあります。
一方で、企業側の人員調整を目的とした「早期優遇退職」では、平均2,182万円と、定年退職より高額になるケースもあります。
つまり今は、
「いつ辞めるか」
「どう辞めるか」
によって、老後資金が大きく変わる時代です。
高卒・中小企業ではさらに厳しい現実も
2023年データでは、高卒定年退職者の平均退職金は、
- 管理・事務・技術職:約1,396万円
- 生産・現業職:約1,155万円
となっています。
大卒平均の1,896万円とは大きな差があります。
さらに中小企業では、
- 退職金制度なし
- 確定拠出年金のみ
- 勤続年数条件あり
なども増えています。
「退職金格差」は、今後さらに広がる可能性があります。
実は“自分の退職金額を知らない人”が多い
日本FP協会の調査では、
50代でも「自分の退職金額を把握している」と答えた人は約6割。
逆に言えば、
約4割は“いくら受け取れるか分からない”まま老後を迎えようとしていることになります。
しかし、
- 住宅ローン
- 教育費
- 親の介護
- 自分の医療費
- 老後生活費
を考えると、退職金の把握は「安心材料」ではなく「生活設計の土台」です。
「退職金+年金だけ」では不安が残る時代へ
もちろん、退職金制度そのものを否定したいわけではありません。
ただ現実として、
- 退職金減少
- 年金不安
- 長寿化
- インフレ
- 医療・介護費増加
という流れの中で、
「会社と国だけに老後を任せる」
ことが難しくなってきています。
だからこそ最近は、
- 副業
- 小さな起業
- スキル活用
- 兼業
- 小商い
など、“定年後も細く長く収入を持つ”考え方が広がっています。
「生涯現役」は我慢ではなく“選択肢”になる
人生100年時代。
60歳で完全引退して30年以上無収入、
というモデル自体が現実的ではなくなりつつあります。
一方で、
- 好きなこと
- 経験
- 趣味
- 人脈
- 資格
を活かして、
小さく社会とつながり続ける働き方も増えています。
実際、TAIGAでは、
15年間の老後資金試算表を作成しながら、
- 「あと月5万円あれば安心」
- 「週2日の収入があるだけで違う」
- 「年金受給前の空白期間を埋めたい」
など、一人ひとりに合わせたセカンドライフ設計のお手伝いをしています。
老後不安をゼロにすることは難しくても、
「見える化」することで、選択肢は増えていきます。
まとめ|退職金を“前提”ではなく“確認”する時代へ
かつての日本では、
「長く勤めれば退職金で安心」
という空気がありました。
しかし今は、
- 退職金減少
- 制度廃止
- 雇用延長
- 成果主義
- 老後長期化
によって、
老後設計そのものを見直す時代に入っています。
まず大切なのは、
- 自分はいくらもらえるのか
- いつ支給されるのか
- 年金と合わせて足りるのか
を把握すること。
そのうえで、
「もし不足するなら、どう補うか」
を50代から考えておくことが、これからの安心につながるのかもしれません。
次回は、
「定年延長で退職金はどう変わるのか?」
について、実例も交えながら考えてみたいと思います。
出典:
厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」
総務省統計局「退職金に関する統計FAQ」
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