20代はスキルを磨き、30代は実績を作り、40代は責任を背負った。そして50代、ふと立ち止まって思うのです。「自分の仕事は、誰のためになっているのか?」

「仕事は生活のため」から「生きがいのため」へ――50代から始まる“もう一つの現役”という選択

わたしも50代に差しかかると、不思議なもので「仕事」に対する考え方が少しずつ変わってきました。
30代、40代はとにかく走り続ける日々。家族を養い、キャリアを築き、会社の期待に応えることに一生懸命だったという方も多いのではないでしょうか。仕事は「生活の糧」であり、「責任」であり、時に「重荷」だったかもしれません。

けれど、50代になると、心境に少し変化が生まれます。若い頃のような昇進への野心はやわらぎ、他人との比較に疲れ、人間関係にも寛容になります。「もっと上へ」というより、「この先どう生きるか」「仕事で社会貢献が出来れば・・・」というように意識が向いてくるようです。 

そして、ふと気づくのです。
――このまま会社人生が終わっても、人生はまだ続く。

定年が60歳だとしても、65歳になっても人生100年時代の今、そこからまだ30年前後の時間が残っています。これは、まさにもう一つの“現役時代”とも言える期間です。

もちろん、この時間をゆっくり過ごすのも一つの選択です。しかし、「まだ働ける」「社会とのつながりを保ちたい」「誰かの役に立ちたい」と感じる方にとって、セカンドライフの過ごし方は思った以上に選択肢があります。

その中でも近年注目されているのが「小さな起業」という道です。
「起業」と聞くと、まだまだ「リスクが高い」「資金が必要」「特別なスキルがいる」と思われがちですが、実は起業家の約4人に1人は50代以上。1991年のバブル崩壊以降、起業家の平均年齢は年々上昇しており、最近では60代、70代での起業も珍しくありません。

背景には、老後資金への不安、働き続けたいという思い、さらにはリモートワークやクラウドツールなどのインフラ整備が進んだこともあります。今やオフィスを持たなくても、個人で事業を始められる時代。これまでの経験や人脈、資格を活かして、身の丈に合ったビジネスを立ち上げる人が増えています。

たとえば、地域密着型の相談窓口、オンラインの家庭教師、カフェと兼ねた趣味の教室、相続や介護の体験を活かした情報サービスなど、規模は小さくても年金不足を補う月5万円、10万円であれば「自分にできる仕事」はたくさんあります。 

では、セカンドライフで“仕事”と向き合う際、どこから始めればいいのでしょうか?

ヒント①:「自分は何が好きか、得意か」を言葉にしてみる
これまでのキャリアを振り返り、「何をしているときが楽しかったか」「人からどんな相談をされることが多かったか」などを整理してみましょう。意外と、他人にとっては価値のある“自分の強み”が眠っていることがあります。

ヒント②:「小さく始める」「試してみる」ことを恐れない
いきなり起業届を出さなくても構いません。まずは兼業や副業、ボランティアから、週末だけ活動してみることでも十分です。小さく動き出すことで、見える景色が変わります。最初の一歩が、次の選択肢を教えてくれます。

ヒント③:「一人で抱え込まない」「誰かに話す」
同じように模索している仲間と出会うことも大切です。地域の起業支援窓口や、セカンドライフ向けの起業セミナーに参加してみるのも良い刺激になります。相談するだけでも、不安が希望に変わることがあります。

気をつけるべき点:焦らず、生活とのバランスを
起業やセカンドキャリアは「レース」ではありません。大切なのは、自分にとって無理なく続けられるスタイルを見つけること。資金面、家族との関係、健康面も含め、できることから始めていくことが、継続のコツです。

50代は「終わり」ではなく、むしろ「始まり」の時期。
野心はやわらぎ、しがらみは減り、だからこそ自分の心に正直に生きることができます。
自分の人生を“自分の手”で再設計する――そんな選択肢のひとつとして、「小さな起業」は、実はとても現実的で、豊かな生き方かもしれません。

あなたの「これから」をつくる手始めとして・・・・まずは自分の棚卸から。

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