「まだ先」と思っていた…50代から始まる認知症介護の現実

50代になると、親の介護は「まだ先の話」ではなくなります。

特に認知症介護は、実際に経験した人でないと分からない現実があります。

厚生労働省の推計では、認知症患者は今後さらに増加し、認知症予備軍とも言われるMCI(軽度認知障害)を含めると、高齢者の約3人に1人が認知機能に関わる症状を抱える時代になるとされています。

2022年時点でも、認知症とMCIを合わせると65歳以上の約27.8%。
すでに「4人に1人」に迫る状況です。

認知症介護にかかる費用は、一般的に月8〜9万円程度、介護期間は平均4〜5年とも言われています。
総額500万円を超えるケースも珍しくありません。

ただ、実際はもっと複雑です。

施設の種類、症状の進行、家族構成、資産状況によって、負担は大きく変わります。

私は義父の認知症介護を約2年間サポートしました。
今年1月、三回忌を迎えたことをきっかけに、改めて「認知症介護の現実」について振り返るようになりました。

当時を思い返して、今でも強く感じるのは、
「認知症介護は、施設探しが最も大変だった」

ということです。

認知症は“外から見えにくい病気”

認知症は、初期段階では非常に分かりづらい病気です。

最初は、

  • 同じ話を繰り返す
  • 物忘れが増える
  • 怒りっぽくなる
  • 財布をなくしたと言い出す

そんな小さな違和感から始まります。
そのため、家族も「年齢のせいかな」と判断が遅れがちです。

しかし、検査や相談が遅れると、

  • 徘徊
  • 暴言
  • 被害妄想
  • 暴力
  • ご近所トラブル

などが始まり、在宅介護が限界になることがあります。

実際、義父も徘徊や近隣トラブルが増え、地域包括支援センターや民生委員へ相談しながら、ようやく老健施設を紹介してもらいました。

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ですが、本当に大変だったのは、その後でした。

「入れる施設がない」という現実
認知症介護では、“施設に入れば安心”ではありません。

認知症の入所条件は非常に曖昧で、

  • 軽度でも入れる施設
  • 中度で断られる施設
  • 医療対応が必要になると入れない施設

など、施設ごとに条件が大きく異なります。

義父も最後の1年間で、

  • 老健
  • 別の老健
  • 医療介護施設

と、3回転所しました。

そして、施設はどんどん遠方になっていきました。

最後の施設は、東京から御殿場方面まで車で片道2時間半。
毎月の訪問だけでも、家族にとって大きな負担になります。

認知症介護は、「介護そのもの」だけではありません。

施設探し・移動・手続き・家族調整
この負担が想像以上に重くのしかかります。

認知症介護で避けて通れない「お金」と「資産」の問題

さらに現実的なのが、お金の問題です。

認知症が進行すると、成年後見制度が必要になるケースがあります。

しかし、

  • 手続きが複雑
  • 費用が継続的にかかる
  • 家族でも自由に財産管理できなくなる

など、想像以上に負担があります。

また、

  • 持ち家
  • 預貯金
  • 年金収入
  • 不動産

があることで、特養に入りにくくなったり、自己負担額が増えるケースもあります。

義父の場合も、成年後見人を外部(=第三者)に委託し最終的には自宅を売却しました。
その結果、住む場所を失った義母を、私たち家族が引き取り、同居することになりました。

介護は、本人だけの問題ではありません。

  • 家族全体の生活設計
  • 相続
  • 住まい
  • お墓
  • 老後資金

すべてが一気につながっていきます。

特に再婚家庭では、相続問題がさらに複雑になることもあります。

50代こそ「介護準備」を始めるべき理由

今の50代は、

  • 親の介護
  • 自分の老後
  • 子どもの支援
  • 仕事

これらが同時に重なる“人生で最も負担が集中しやすい世代”です。

だからこそ、「まだ元気だから大丈夫」

ではなく、

元気なうちに準備しておく”

ことが、家族を守る最大の対策になると感じています。

最近では、認知症の進行を遅らせる薬や治療法も出始めています。

また、MCI(軽度認知障害)の段階で対策を始める重要性も言われています。

私自身が「もっと早く知っておけば良かった」と感じた5つのこと

少しでも違和感があれば早めに検査する

「まだ大丈夫」が一番危険でした。

初期対応が早いほど、選択肢は増えます。

家族間で介護方針を話し合っておく

介護は、家族の価値観の違いが表面化しやすい問題です。

元気なうちに話しておくことが重要です。

生前贈与や資産整理を早めに進める

認知症が進行すると、本人名義の財産が動かせなくなるケースがあります。

地域包括支援センターへ早めに相談する

介護は「情報戦」です。

早めの相談で、利用できる制度や施設の選択肢が広がります。

「自分だけで抱え込まない」

認知症介護は、外から見えません。

だからこそ、介護する家族ほど孤独になりやすいのが現実です。

認知症介護は「突然始まる」

認知症介護は、ある日突然始まります。

そして一度始まると、数年単位で家族の人生を大きく変えていきます。

私自身、義父の介護を通じて、

「もっと早く知っていれば」
「もっと早く準備していれば」

と思うことが何度もありました。

だからこそ、今回、三回忌を迎えたこのタイミングで、改めてこのテーマを書こうと思いました。
認知症は完全には避けられないかもしれません。

ですが、

  • 早期発見
  • 家族での話し合い
  • 資産整理
  • 介護知識
  • 地域とのつながり

によって、負担を軽減できる可能性はあります。

50代は、「まだ元気」だからこそ準備できる最後のタイミングかもしれません。

介護が始まってから後悔しないためにも、今一度、家族で話し合うきっかけになればと思います。

▶「親の介護、そろそろ考えた方がいいかも」と感じた方へ
まだ介護など何も始まっていない段階でも問題ありません。むしろ、早い段階で整理しておくことで
後の負担や迷いを大きく減らすことができます。うまく言葉にできていなくても大丈夫です。
無理な提案は一切ありません。

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