恩送りファンド実験|コラム #7 実験から見えてきた、恩送りファンドの課題~50代・60代の小規模起業支援で学んだ自走支援の難しさ~

TAIGA恩送りファンドの実験的な取り組みを開始してから約半年が経ちました。

私自身の起業経験から、「失敗してもやり直せる小規模起業支援」が必要ではないかと考え、2026年に恩送りファンドの実験を開始しました。

人生100年時代と言われる今、定年後も20年、30年という長い時間があります。

しかし、年齢を重ねてから新しい挑戦をすることは簡単ではありません。

資金面の不安もありますが、それ以上に「本当にできるのだろうか」という心理的な壁が存在します。

だからこそ私は、人生経験をこれからの力に変えながら、自分らしい形で社会とつながり続けるための選択肢として、小規模起業の可能性に注目してきました。

そして、もし挑戦した結果うまくいかなかったとしても、やり直せる環境があればいい。

その可能性を探るために始めたのが、今回の恩送りファンドの実験です。

今回実験的に伴走支援を行ったのは、高齢化や核家族化によって変化する都会のマンションでの供養の課題を、遺影イラストで代替できないかと言うサービスでした。

約半年間にわたり、

・事業アイデアの整理

・市場調査

・サービス設計

・事業化準備

などを一緒に進めてきました。

準備段階は比較的順調に進みました。

しかし、実際に事業として形にしていく次のフェーズに差しかかった時、恩送りファンドにとって非常に大きな課題が見えてきました。

それが、

「自走支援の難しさ」

です。

どれだけ良いアイデアがあったとしても、自分自身で判断し、自分自身で課題を設定し、一歩ずつ前へ進んでいかなければ事業は形になりません。

反対に言えば、事業アイデアが完璧でなくても、自ら考え行動できる人は少しずつ前へ進んでいきます。

私は当初、課題を設定し、その進捗を確認することで前進を促せるのではないかと考えていました。

しかし実際に伴走支援を行う中で、自走支援の難しさを痛感することになりました。

支援者が課題を設定し過ぎると、自分で考える機会が減ってしまいます。

いつの間にか支援を受ける側は、自分で判断するのではなく、「正解」を探す側になってしまうことがあります。

一方で、本人の意思を尊重し過ぎると、今度は何から手を付ければよいのか分からなくなり、前に進めなくなることもあります。

答えを与え過ぎてもいけない。

かといって、見守るだけでもいけない。

支援者と挑戦する人との距離感は、想像以上に繊細なものでした。

今回の実験を通じて私が感じたのは、自走とは「一人で全てを解決すること」ではないということです。

自走とは、自分自身で考え、自分自身で次の一歩を決められる状態なのではないか。

そして伴走支援とは、その力を育てるための環境づくりなのではないか。

そのように考えるようになりました。

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そしてもう一つ、大きな学びがありました。

それは資金支援のあり方です。

恩送りファンドでは、当初一組当たり30万円程度の支援を想定していました。

しかし今回の経験から感じたのは、資金を一括で支援するだけでは、本当の意味での挑戦を支えることは難しいのではないかということです。

なぜなら、事業を前に進めるためには、お金以上に、自ら考え行動し続ける力が必要だからです。

そこで現在検討しているのが、

「30万円を10万円ずつ3回に分けて支援する制度」

です。

・第一段階は準備段階です。

やりたいことを整理し、事業の可能性を確認し、最初の一歩を踏み出すための期間です。

・第二段階は事業開始段階です。

サービス提供や商品販売、ホームページ制作など、実際の行動へ移していくための支援を行います。

・第三段階は実稼働段階です。

継続的な運営や事業の発展を見据えながら、次のステップへ進むための支援を行います。

そして、それぞれの節目で振り返りを行い、本当に次のステージへ進む準備が整っているかを一緒に確認していきます。

これは合否を決めるための審査ではありません。

挑戦する人と支援する人が現在地を確認し、次の一歩を考えるための対話の機会です。

また、挑戦する側にとっても、

「まずはここまで進めてみよう」

という具体的な目標が生まれます。

モチベーションを維持しながら、一歩ずつ前へ進むための仕組みでもあります。

振り返ってみると、今回最も学んだのは事業計画の立て方ではありませんでした。

人が一歩を踏み出すためには、資金以上に「自分で決める力」が必要だということでした。

今回の実験は、成功か失敗かを判断するためのものではありません。

むしろ恩送りファンドにとっては、

「自走支援とは何か」

「伴走支援とは何か」

を学ぶ貴重な機会だったと感じています。

今回の実験を通じて見えてきた課題は、すぐに答えを出せるものではありません。

むしろ、このまま支援を継続するよりも、一度立ち止まり、自走支援や伴走支援のあり方について改めて整理することが必要だと感じています。

そのため、今回の実験は6月をもって一つの検証期間の区切りとし、7月以降は実験を通じて得られた

課題や気づきをコラムに整理しながら、制度設計の見直しを進めて行きたいと考えています。

事業自体の可能性がなくなったわけでもありません。また、挑戦する意思がなくなったわけでもありません。

より効果的な支援のあり方を模索するための時間だととらえています。

恩送りファンドはまだ完成した制度ではありません。

試行錯誤を繰り返しながら、少しずつ形を作っています。

しかし今回の実験を通じて得られた学びは、恩送りファンドを次のステージへ進める大きな財産になりました。

次回からは「伴走支援で見えてきた課題」をテーマに、実験を通じて得られた気づきや制度設計の考え方についてお伝えしていきたいと思います。

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